オニール・リージョナル・パーク 〜 メイフラワー郡立公園(キャンプ泊)
4日目の朝、5時起床。僕はキャンプ場だと目覚めるのが早い。
奥様は少しお疲れ気味。この先はさして急ぐ旅でもなし、そのまま寝かせておく。
ひとりシャワーを浴びに行って汗を流す。カメラ片手に朝の散歩。
公園はとても広く、サイトは適度な間隔で居心地がいい。BornFreeから流れ着いた人も結構いて、会場で見かけたバイクがちらほら停まっている。
あ、昨日のFXRP(笑)。どっかで部品調達して、どうにか治してCAMPしてるとのこと。たくましいよね。
野生のウサギもいます。
もちろんこの旅のキャンプでは、就寝前に全ての食材や生ゴミは車にしまった。日本でもそうしてるけど、日本以上に野生動物についての注意は必要かと。
周りの人は結構出しっ放しで、カラスにやられてましたけど。
インスタントコーヒーを入れて、朝食はミートソースとマフォンを炙る。パスタはすぐエネルギーになるし、何かと重宝する。朝食を用意していると奥様も起きてきた。たっぷり寝て体力も回復したみたい。
BornFreeにいたエレクトリックバイクと再会。はるばるドイツから。
奥様も取材スイッチ入って、いろいろとお話しを聞く。やはりこれからは電動の時代がくるし、ビルダーとしても無視できないぞと。
これからバラして飛行機に乗せて帰るらしい。
「えー、重くないの?」と聞くと「へっちゃらさ、ほら」と言って持ち上げてくれた。
軽々やってるが、80kgなのでそれなりに重いはず。笑顔が可愛い。
奥様も跨らせてもらい
持ち上げてみる。やっぱ重いじゃんよ(笑)
「走ってる姿が見てみたい」と言ったら、「いいよ」と言ってシュイーンと走ってくれた。ほぼ無音。
ありがとう!と言って別れたあと、ショップのキーホルダーをわざわざ持ってきてくれた。
バイクと同じアルミの一種(正式名称を教えてくれたが失念)の素材。こういった気遣い、嬉しい。
こちらからはお返しに、寿司の絵の手拭いを差し上げる。奥様はこういうところは良く気がついて、こんな機会に誰かに渡せるよう、邪魔にならない程度の簡単な手土産を持参するのだ。
▽
テントを撤収してオニールを出発。お世話になりました。
ここまでスマホのGoogleマップを頼りにしてたのだが、紙のロードマップも欲しい。それと、撮った写真をバックアップするのにMacBookを持参していたし、カメラの充電もしたいんだけど、キャンプ泊だと電源の確保が難しい。ACコンバーターをなんとか見つけたい。
そんな困った時はWalmart。なんでも揃います。
見てるだけでも楽しいロードマップ「Road Atlas AMERICA」を7.97ドルでゲット。それと、まさか無いだろと思っていたシガー→ACコンバーターも10ドル程度でゲット。これでカメラの電池切れに怯えなくて済むと奥様大興奮。
今日はアリゾナに向かって走り、適当なところでキャンプインの予定。セドナまではまだ遠い。
レッドランズ・フリーウェイ(10号)をひたすら東へ走る。
途中ハイウェイをいったん降りてトイレ休憩したのだが、このふと立ち寄ったサービスエリアが灼熱の暑さだった。
カリフォルニアの名前もわからない場所だけど凄まじかった。アリゾナのフェニックスの街は摂氏42℃まで上がると聞いていたが、ここの体感はそれ以上。
熱風というかサウナに入っているようで、しばらく車外に出ていると身の危険さえ感じた。こんなところがあるなんて世界は広い。
15時頃まで走り、そろそろ今日の設営地を勘案する。
イーストブライスの241出口で降りて、サウス・インテイク・ブールバード95号を北上する。なんとなくキャンプ場がありそうだという理由で。走っていると道端の看板に、HIDDEN BEACHES RESORT『CAMPING』の文字を見つけ、Uターンして向かってみることにする。
HIDDEN BEACHES RESORTはRV専用のキャンプサイトであったが、その先にテント泊できるメイフラワー郡立公園があるというのでそちらへ行く。
コロラド川のほとり、綺麗な芝生と数台のキャンピングトレーラーが見える。
受付は閉まっていて誰もいないが、翌朝8時には来るからその時に代金を支払えば良さそう。サイトの奥まで進んで、目ぼしい一角に居を構える。
かまどは無いけどテーブルと椅子はあって良さそう。何しろロケーションが素晴らしい。早速テントを張り始めたのだが、向かいのトレーラーから痛いほどの視線を感じる。
奥のトレーラーからおじさんがじっとこちらを見ている。
なんだろう、テントがそんなに珍しいのだろうか。ハーイ、と手をあげるが返事はない。構わず設置していると、おじさんが近づいてきて、明らかに訝しげな表情。さらに近づいてきたので再び「ハイ」と挨拶すると
「※※※※※※※※・・・マイクロウェーブ」
は?
「ゴニョゴニョゴニョ、” マイクロウェーブ ”」
そう吐き捨てるように言ってトレーラーに戻っていく。
『マイクロウェーブ=電子レンジ』しか聞き取れない。「電子レンジがあるから後で食べに来い」とでも言っているのだろうか。思いっきり友好的に捉えているが、これまで良い人にしか出会わなかったのだから仕方ない。
奥様が慌ててあとを追う。
「すみません、よくわからなかったからもう一度言ってくれませんか?」
奥様はよく、わからないのに安易に「Yes」と答えてはいけないと言っていた。わからない時はわからない旨をきちんと伝えるべきだと。それは身の危険に及ぶ話かもしれないし、わからないと言えば向こうもそのつもりで伝えようとしてくれる。
「すみません、もう一度言ってくれませんか?」
後ろについた奥様の声は届いていたはずなのに、おじさんは何も答えずトレーラーに乗り込み扉をバンと締めた。
なんなんだ。
我々はのちにこれを「マイクロウェーブ事件」と呼ぶのだが(笑)、何がなんだかさっぱりわからない出来事だった。未だにわからない。
僕らは何も悪いことはしてないが、なにか気に触ることがあったならそれを伝えるべきだろう。日本人への差別か、原発がなにか関係するのか、あれこれ仮説を立ててみても答えは見つからない。結局、僕らは何も悪くないと結論づけ無視して設置を続ける。自分たちが悪いわけでもないのに、立ち去るという考えはない。
奥様は先にシャワーに行き、僕はビールを飲みながらロードマップを眺めていた。ふと視線をトレーラーに向けると、娘さんがこちらにスマホを向けて写真を撮っている(ように見えた)。
なんなんだよ(苦笑)。
娘とお母さんもいた。皆ちょっと訝しげ。
無視!
トレーラー家族がやがて慌ただしくなって、ピックアップトラックとトレーラーを連結し、結局その場から出て行ってしまった。オレらどんだけ嫌われてんだ(笑)。僕たちが原因で出て行ったのかはわからないけれど。
まあでも、サイコファミリーがいなくなってかえって清々した。シャワーから戻った奥様にこの話をしたら、中指立ててやれば良かったのにと言ってた。ふー。
サイトを夕日が照らす。なんとも美しい場所ではないか。さあこの後は肉でも焼いて、酒を飲みながらマイクロウェーブについて思いを巡らそう。と思っていたのだが、とてもそんな余裕はなくなってしまった。
このサイト、ロケーションは抜群なのだが、蚊の襲撃がハンパではなかった。
常に耳元でプーンと鳴る、服の上からも刺す。全身30ヶ所くらい刺されただろうか。僕は、何が苦手って蚊に刺された痒みなのだ。ゴキブリとか実害を加えない虫はなんてことはない。蚊だって血くらいくれてやるから、頼むからカイカイだけはやめてくれ!
奥様も刺されていたけど、蚊に対しては僕より免疫があるのか(鈍感?)。ポリポリ掻きながらも「早く食べちゃおう」と言っていたが、僕はもう痒みに耐えかねて、作った料理を持ってテントに逃げた。
食べてても痒みが辛くて少しも味わえなかった。このキャンプはこれまでで一番キツかったかもしれない。マイクロウェーブなんて可愛いもんだ。
テントの中は寝苦しかったのだが、もう早々に寝て明日さっさと撤収しようと思った。
世の中いろんな人がいますね…すぐいなくなってくれてラッキーでしたね。
しかし、あのエレクトリックバイク乗りの方、バイクが小さいのか人が大きいのかなんかサイズ感がよく掴めません(笑)なんか写真だけでも愛嬌があってフレンドリーでいい人感がすごく伝わってきます^^
nmindさま
コメントありがとうございます。
ドイツの電動バイクの方は、両方ですね(笑)
バイクはわりとコンパクトでしたし、彼は彼で大柄なので縮尺がおかしな感じになってます。笑顔が良いでしょう?そうなんですよ。
確かにいろんな人間がいますよね。いろんな人がいて、いろんな世界があって。アメリカは良い経験になりました。北海道、目一杯楽しんできてくださいね!