北海道2014備忘録 ~ 3日目

 

AM3:30に目が覚めて、4:00には起きだして行動開始。
朝日をぶらぶら見に行って、お湯を沸かしながら撤収作業。お隣のBMWご夫婦ももう起きて朝食の用意をしている。コーヒーを淹れて、セイコーマート特製しっとり豆パンでこちらも朝食。

パッキングを済ませバイクに積み込んでいると、奥様が笑顔で話しかけてきた。
「あら、お隣さんのバイクだったのね。旦那がこれにいつか乗りたいってずっと写真撮ってて」

バイク乗りの会話のきっかけとして、相手の車を褒めるところから入るのは常套であるし、僕だって相棒を褒められて嫌な思いがするはずもない。でも事をはっきりさせておくと、旦那さんは’88年のBMW R100GSに乗っておられて(奥様はF650GSという完璧さで)、この絵になるオートバイは僕の憧れの1台でもあり、加えて乗り手の格好や物腰までもがスタイリッシュで、ご所望であればひれ伏してそのブーツをお舐めしましょうかと言いたいくらいの格好良さなのであった。反して僕のキャンプは泥臭い。その言葉そっくりお返ししたい気持ちでいっぱいになった。
ひとしきりバイク談義、林道談義をして、じゃあお互い良い旅をと言って別れた。しまった、写真を撮り損ねてるじゃないか。仕方ない、心のシャッターを切っておく。

今日は見たい景色がたくさんあった。

まず最北の地、宗谷岬に寄り、それからちょっと迷って宗谷丘陵。白い貝がらの道へ入り、これまた行き過ぎて戻りエヌサカ線を走った。白い道とエヌサカ線は、ちょっと忘れられない光景だったな。そこから網走目指してひたすら南下する。網走まであと280kmという標識見て折れそうになったけど、そもそも気ままな一人旅。慌てる必要など無いのだ。

枝幸町のセイコーマートで、ソフテイルに乗ったモヒカンのお兄ちゃんとおしゃべり。地元の方だったのでこの辺のカニ事情について聞いてみた。
「この辺は有名で旨いスよ。こないだもカニ祭りがあったし」
ならばと通り過ぎて気になっていた蟹の直売所に戻ってみる。知らなかったのだけどここ枝幸町は、蟹の水揚げ高日本一なのだそうだ。

ささき水産のお母さんはとても感じが良く、ゆったりと時間が過ぎていた。平和。よし、ここで想う人に土産を買おう。聞いたら1番小さめな毛ガニで一杯2100円。なかなか良い値段だ。一杯って訳にもいかんので、二杯ずつ3ヶ所に宅急便で送る。締めて17,320円、大奮発だ。送料が高いのは仕方がない。一杯1,900円にまけてくれてお母さんありがとう。

更に南下。
サロマ湖まで来て16:00。網走まではあと50km。良く走った、ここまでかな。無理はせず、今日はサロマ湖畔のキムアネップ岬キャンプ場にテントを張ろうと決める。

今日の終着地が決まって、少し気が緩んだということは確かにある。夏のツーリングで恐いのは、走行時における虫の侵入だ。これまでにも袖口から入ったカナブンにパニクった経験があった。虫にとってもたまったものではない。少し暑かったこともある、普段はしっかり締めておくのだけれど残り5km、ジャケットの首元を少し開けたまま向かった。黄色い物体が、唐突に視界の端に飛び込んできてその刹那、首にバチッと電流が走った。しまった!

慌てて払いのけて路肩に止める。~~~激痛。
ついさっき休憩した道の駅で、急増するスズメバチの被害報告を読んだばかりだった。不安が一気に押し寄せる。旅に出る前、迷った末ポイズンリムーバーを買わなかったことが悔やまれた。指で皮膚を摘み毒を絞り出す。首元じゃ吸えない。5分ほどそのまま待つ。

痛いけど、眩暈がしたり気分が悪くなる訳じゃない。スズメバチじゃなかったか。少し迷いつつもゆっくりキャンプ場へ向かう。人が居れば、万が一何かあっても助けてもらえる。首はズキズキと痛むけど、これ以上悪化しないからこの後は引いていくかもしれない。そう願いたい。

キムアネップ岬キャンプ場は強風が吹き荒れていた。まばらにいた人たちは皆考えあぐねている。ライダーのひとりが意を決して設営を始める。辺りは薄暗くなってきた。選択枠は無いのだ、あとに続け。幸い管理棟のおばちゃんに聞いた場所が大正解で、風がうまく回り込むおかげか、僕が張ったところだけはかなり穏やかだった。キャンプ場のおじちゃんもおばちゃんもとても良くしてくれて、強風にあおられるテントの設営を手伝ってた。充電も快く引き受けてくれる。無料なのにすみません。地面が硬くてプラのペグハンマーが粉砕。何とか設営後、7キロ先の道の駅まで買出し。閉店間際で食べ物は豚まんのみ。300円でそれを食べてビール3本と乾き物を買う。これも時間ぎりぎり。

旅をしていると、出来事を前向きに考える。でないとツマラナイからだ。あれがスズメバチじゃなくて良かった、まだ旅が続けられる。閉店間際だったけどビールが買えて良かった、これが無いのは辛い。風呂は無かったけどコインシャワーがあって生き返った。強風のおかげで蚊に悩まされることはない。今日言葉を交わした人たちの顔を思い返した。すれ違うバイクのピースに元気をもらった。今日の夕飯は質素だけど、自然が素晴らしい。そしてやっぱり、北海道は感動に溢れてた。空を眺め、何年かぶりに流れ星を見る。22時就寝。明日、首の痛みが引いてますように。あと、右リアサスからオイル漏れ。

7/21月曜日 稚内森林公園キャンプ場~キムアネップ岬キャンプ場 369km

 

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