北海道2014備忘録 ~ 4日目


 

午前3時半くらいに目が覚めて時計を見る。
外はまだ暗い、シュラフの中でうだうだする。もう少し寝ておこうとぐっと目を閉じる。思いに反して頭の中では今日の予定を考え始めている。景色が流れていく。ダメだ、起きるか。そんなに慌てるつもりはないんだけど、今朝も4時起床。蜂(らしきもの)に刺された首の痛みは、起きた時点で随分和らいでいた。これなら大丈夫、きっと痛みは引く。

ゆっくりと撤収して走り出す。そこかしこで息を飲むような、地平線の向こうまで突き抜けた直線路に出会い、初めこそ短く叫んでは写真に収めていたけれど、4日目ともなると停まるのも億劫で、写真がおろそかになってくる。とはいえ、いささかも色褪せる事がない。国道より道道、道道より農道だな。

美幌峠に駆け上がると11年前と全く同じ霧に包まれた世界だった。ワンボックスの後ろにベタ付きして峠を走り切る。硫黄臭がツンと鼻をついて、白煙を上げた硫黄山が目に入った。駐車場に乗り入れて、荒涼とした山肌を歩く。メロンと、温泉玉子の組合わせも悪くない。もふもふと黄身の甘みを楽しんだあとに、熟れたメロンにかぶりつき、みずみずしい果肉で洗い流す。ひと風呂浴びたくなって川湯温泉に寄り道するも、そこは小さな温泉街で、宿の日帰り入浴しか無さそうだったので先に進む。

そしてついに知床半島突入、ウトロ側。里見でツブのかき揚げ丼。かき揚げも旨かったけど米の旨さに膝を打つ。ホームセンターを見つけ、粉砕したハンマーの変わりに木槌を買って、国設知床野営場で幕営。時間的にはかなり早い。今日はゆったりと、大自然を堪能しながらビールでも啜ろうと思っていた。気に入った場所でのんびりする、そんな日があっても良い。

設営を終えて風呂支度をしていると、往路のフェリーでも一緒だったハーレー御一行様が入場。ど派手にペイントされた7~8台のウルトラが、轟音と共に駐車場を席巻する。やいのやいのとテントを設営し、予想通りの大宴会を始めたものだから膝から崩れ落ちた。もちろんどう過ごそうが自由だ。だけど知床の世界遺産の中で、居酒屋みたいに騒がなくたっていいじゃないか。誤解の無いように言っておけば、僕だって仲間と酒を飲むことがいかに楽しいかは知っている。旅の時は物事を前向きに考えると言った舌の根も乾かぬうちに、悪態ついて何だけど。

更に追い打ちをかけたのが、中国の方と思しき集団が車で入場して、あたり構わずゴミをぽいぽい捨てまくっていた事だ。彼らのテント周辺はひどい有様だった。よしんば朝まとめて捨てるつもりであったとしても、悪意は無いのだとしても、それはやはり見るに耐えない光景だった。夜は遅くまで子供が歌い、早朝は泣きまくった。素晴らしいキャンプ場なのにかえすがえすも残念だ。羅臼に行くんだった。そんなふうに思ってしまったのは、僕の狭量のせいもあるが、知床という地に得もいえぬの畏怖を感じていたからだと思う。

夕刻を待って、歩いて行ける居酒屋『番屋』へ向かった。キャンプ場から徒歩圏内に、居酒屋があるなんて夢のようだ。寿司とホッケと冷酒を堪能。カウンターで舌鼓を打っていると、ハーレー御一考様も来店。ですよねー。話してみればもちろん悪い人たちじゃないんだ。安くはなかったけど旨い食事で満足。それからコインランドリーがあったので、ここで一斉洗濯。

明日は北海道に来て初めての雨予報。高らかに歌い上げる独唱をぼんやりと聞きながら、ほろ酔いでテントにもぐり込む。




7/22 火曜日 キムアネップ岬キャンプ場~国設知床野営場 251km

 

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