SSTR 2015 ~旅とエンデューロ


 

FRM(フリーライドマガジン)という雑誌がある。
写真がとても素敵で、特集記事もグッとくる大好きな本だ。フリーライドという響きも良い。ありていに言えば、我々はいつも自由たるものに惹かれてしまうのだから。その本のある号で、『旅とバイクとエンデューロ』という興味深い見出しがあった。本屋で目にしたその一文から、僕はしばらく目が離せなかった。ある意味、少し訝しんでいた。

旅、エンデューロ、そのどちらも僕にとっては興味あるワードだし、組み合わせれば魅力的に違いないが、そのふたつは簡単に共存できるとは思えなかったからだ。旅とエンデューロは、同じ土俵の上では語れないのではないか。でも、そのひとつの解答がここにあるのだと思うと、本を手に喜び勇んでレジに向かった。

記事の内容をかいつまんで言えば、日高ツーデイズエンデューロ(HTDE)に自走で参加する、という趣旨のものだった。仙台港から苫小牧行きのフェリーに乗せ、苫小牧から日高まで、レースに出るためにツーリング(旅)しながら向かうという内容だ。マシンはBETAの2st 250ccレーサーであるから、希有な試みではあるのだろう。旅とエンデューロという文言にも偽りはない。記事そのものも素晴らしいものだったし、充分ワクワクさせられた。

ただ、僕が違う方向を向いていたのだと思う。それは旅をしたあとにレースに出たわけで、二つが融合したわけでは当然なかった。僕は勝手に混ざり合ったものをイメージしていたのだ。むしろ話の主旨としては、トランポが無くてもレースには出られるぜ、的な内容なんだと思う。
でもそこで、はたと思いついた。僕のイメージした「旅とエンデューロ」は「ラリー」という言葉に置き換えられやしないか。ひとことにラリーと言っても多種多様であるから、少し乱暴かもしれないけど。ラリー競技の基本は一般公道で行うという点にあるし、長距離耐久レースであることや、険しい峰々や悪路を超えて、各チェックポイントを通過していく。これはまさに旅であり、エンデューロではないか。

長い前置きになった。
この先も特にあなたに有益な情報があるとは思えないし、ここでやめてもらっても一向に構わない。

SSTR(サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー)を知ったのは、比較的最近のことだ。ものの本だったか、ブックマークしたブログだったか、とにかく何かで読んでその存在を知った。歴史もまだ浅い。その言葉どおり、日の出と共にスタートし、日没までにゴールする。ゴール地点は石川県、能登半島の千里浜。スタート地点は大雑把に言えば、自由だ。まさにフリーライド。もうこれだけで、ワクワクしないかい?レースの詳細はまたの機会に書くとして、このラリーにエントリーした。だって、僕の好きなものを綯い交ぜにしたものだから。

開催まであと3ヶ月。その間に考えなくてはならない事はたくさんある。どこからスタートするか、ルートはどうするか、車両はWR250Fが有力だけど、30年落ちのセローも捨てがたい。もう、僕の中での旅は始まっている。きっと、エントリーした人は皆同じだろう。

忘れっぽい自分のために、北海道の備忘録を書き進めていたのだが、過去の事よりこれからの事の方が、やはり心躍る。このあともSSTRの話をちょいちょい挟んでいくと思います。

 

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