ドーテー125の皮むき

わが家に来た時から比較的程度の良かった’79 DT125。
だけど唯一、シートの表皮だけは少々残念な状態だった。皮が残念ではヤル気も出ない。

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ぱっと見悪くないように見える座面も、広範囲が黒いビニールレザーで補修されていた。範囲が広すぎてかえって一枚物に見えなくもないし、見方によれば前オーナーの愛情の表れとも取れる。それに、こういった素人仕事が嫌いなわけではない。むしろ好きだ。良くも悪くも個性があるし。

だけど、座り心地や肌触りは良くなかった。オートバイと身体が触れる入力の部分は、グリップにせよステップにせよやはり大事なのだ。それで、チキチキが終わってシーズンオフの今、いよいよ張り替えることにした。

張り替えとなると自分でやるかプロに頼むかになる。シートに対しては素人なりのひとかたならぬ想いもあって、いろいろと経験だけは積んだ。YZとKLXのシートをニコイチにしてハイシートを作ったり、レザーの張り替えも何度かやった。しかし、所詮は素人。一度もプロにお願いしたためしがなかったので、これも良い機会と頼んでみることにした。

シートの有名どころといえばいくつかある。キングオブシートの声も名高い野口美装。インジェクションスポンジという発想に目うろこボロボロ落ちて、シートの未来を感じたK&H。オフ車シートに強いクリオネスピード。硬派な老舗といえば河名シートの名も浮かぶ。各社多種多様、どこも素晴らしい仕事ぶりだろうと思う。シート屋さんって良いなあ。

そこで、今回僕がお願いしたのはそのどこでもない、名古屋の「丸直」さんだった。
その理由はといえば、対応がとても親切だったこと。生地サンプルを速攻で送ってくださったり、メールにも逐一丁寧に返答いただいた。初めに相談したのは実はもう去年のことで、そこからお願いするまでダラダラと時間ばかりが過ぎたが、対応の良さは全く変わらなかった。

シートを送って見積りをもらうと、驚愕の安さで申し訳なくなった。DT125はどうやら50ccクラスと同額らしい。職人さんの手作業だというのに、こんなんで儲けが出るのか心配になる。シートって、新品にせよ加工にせよある程度高額だが、それも職人さんの技や開発を考えれば当然の対価だと思う。それなのに。

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表皮を剥ぐとウレタンの側面に亀裂があって、それの修正にプラス1,000円かかってしまうが良いでしょうかという写真添付された低頭平身のメールが来て、いやいやいやと。もう煮るなり焼くなり好きなように直してくださいませと。

せめて急ぎませんのでと返事して、妙齢の姉さま方にひと皮むかれて大人になったドーテーの帰りを待っているところなのであります。

 

 

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