保証書をつけないスノーピークに修理依頼したら神対応だった件について僕なりの回答

”人生に、野遊びを。”

スノーピークは新潟県燕三条に本社を構える、日本有数のアウトドアブランドである。先代の山井幸雄が金物問屋を立ち上げた日から、スノーピークの歴史は始まった。この会社についての蘊蓄はたくさん出回っているので詳しくは触れないが、「ピーカー」と呼ばれる一部熱狂的なファンがいると知って僕の気持ちはずいぶん冷めた。あんまり好きじゃないのよね、そういうの。

そうはいっても過剰なまでに頑丈なペグ「ソリッドステーク」は思わず購入したし、地表のダメージを憂慮した「焚火台」の着想はスノーピークの理念を明確に打ち出していて好感が持てた。

「シェラカップ」においても、元祖SIERRA CLUBのカップ寸を完全にパクってなおかつ持ち手に中指をかける曲げを作り、持ちやすく改良するという細かな配慮があり、これもついつい買ってしまった。最近、少し軟派な方向に向かいつつある気がしないでもないが、良い製品を作ろうという志はピーカーでなくとも伝わるものがあった。

実をいえばランタンもスノーピークである。
ギガパワーランタン天オート(GL-100A)。これにオプションのメッシュグローブ(GP-007)を合わせて使っている。なんといっても小さいし趣もある。マントルは少々めんどくさいけれど、空焼きしたあとゴーという小さな音と共にオレンジの光に包まれる感じは、LEDの人工灯とは違う優しさがあってほっとする。

GWの関西ツーリングにも持参して、陽が落ちてきたキャンプ場で着けようとしたら壊れていた。OD缶に付けてワイヤーハンドルを緩めても、ガスが送り込まれない。「えー、この前まで使えたのに」仕方なく帰ってから修理に出すことにした。

ご存知だろうか。スノーピークは全商品、保証書を付けない
それは『メーカーが自社製品の品質に責任を持つのは当然』であるとの考えからである。平たく言えば「よっぽど阿呆な使い方したんじゃなければ、うちの責任で直してやっから送ってこい」という何とも太っ腹というか男気というか、心がひん曲がっているうえに屁も臭いところのわたくしが「ほんまかいな」と疑ってかかるに充分な企業理念なのであった。ならば、試してみようじゃないかその心意気。

オンラインで修理を依頼するには、ポイントカード会員への入会が必要。といってもこれも無料なのでさくっと登録。修理エントリーシートに記入し送信する。ランタンをエアキャップで包んで手近な段ボールに入れて、宅急便で『着払い』発送する。ごめんごめん、ちょっと箱が大きくて最低料金じゃなかった。千円をちょっと越す。それで文句などは言ってこない。

「次いつ頃使うよ」という予定日が書けて、これに間に合わなければ別途連絡がくる。「有料修理の場合はまず連絡を希望する」とか、「2,000円以下で修理できるなら確認なく開始する」とか、こちらの要望を細かく指定できるのもありがたい。
センターに荷物が着くとその旨のメールがきて、都度進捗メールが送られてくる。

特に急いではなかったが、二週間ほど経ってから「無償修理」で「修理完了」して「発送しました」のメールが立て続けに送られてくる。そして修理を終えたランタンが届く。

これも元払い。つまり、僕は一銭も払ってない。送料はおろかビタ一文払ってない。

症状はノズルの詰まり。修理内容はノズル交換と本体の分解メンテナンス。

薄汚れたてボディもかなり綺麗になって帰ってくる。しかもマントル付き。

嫌いだなんて言ってごめん。

一定数のファンを獲得するにはそれなりの理由があるということか。

試しに着火してみると、ガレージ内を柔らかい光が包んだ。

 

 

 

 

 

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