3月は渓流釣りの解禁である。
ナマクラ刀を振り回すような僕の釣りでも、テンカラという伝統釣法にハマってから飽きもせず続いている。渓流に通いはじめて4度目の春。僕にとっての渓流釣りとは、キャンプツーリングの延長線上に位置する遊び。山の中にひとりぽっち、身を置く心細さと解放感は日常では味わえない刺激があるし、ごく稀に、美しい渓魚がかかったりすれば山の中で一人ほくそ笑む。完璧に均衡のとれた小宇宙のような渓に降り立った時、自分の小ささを思い知るのである。まるで手練の釣り師のように書いてはいるが、単なる下手の横好きです。
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シーズンインに向けて釣行マシン・セロー号の整備。
毒々しいピンクの液体でまずは洗車して、DOAのために買った(でも出られなかった)PIRELLI MT21をWRから剥いでセローに履かせる。
タイヤ交換は腰にくるぜよ。
フロントタイヤは無事完了。
ブレーキパッドも買い置きがあったのでついでに交換。
なつかしのデイトナ赤パッド。
フロントを終えてリアタイヤを外したら、ホイールベアリングの玉がバラバラと下に落ちた。
うそだろー。ベアリング崩壊してるじゃん。チーン。明日の釣行計画終了。
解禁日は日曜日だったので、鼻息荒く向かうつもりだったのに。しくしく。仕方なく部品を発注する。1ヶ所ダメってことは全部ダメかも。換えるかーしくしく。
セローでの釣行は行けなくなったけど、どうせなら他の川を見にいくことにする。これまで道志川のそのまた支流である櫓沢川という小渓に通っていたのだが、有名どころの秋川へ。初めての渓は勝手がわからないのだ。久しぶりに奥様のスポーツスターを借りて、ツーリングがてら出かけることにした。
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もちろん下道。甲州街道をパタパタと西へ向かう。
新奥多摩街道から睦橋通り(県道7号)を行くと武蔵五日市の駅前に出る。檜原街道(県道33号)を左折すれば、秋川渓谷はすぐそこである。
秋川は橘橋の交差点を界に、北秋川と南秋川に分岐する。今日の現調は南秋川を中心に川の様子や入渓地点を探っていく。
檜原街道に入ってからは、道沿いに流れる川を横目でチラチラうかがいながら、降りられそうな脇道があれば外れて川を見にいく。
まだだな。もっと上流へ。
バイクが停められて、川まで下りられて、パンイチになって着替えられて渓相の良さそうな場所を探していく。こういう探索は小さいバイクの方が小回りが利いて良い。
どことは言わないけど、ちょっと見覚えのある場所にピンときて。
バイクを停めて渓に下りる。難なく入っていける。ははーん。
良いじゃないの。
魚影は確認できなかったけど、この辺りから試してみても良さそう。
ちょっと収穫あったので、あとはブラブラと寄り道しつつ奥多摩方面へツーリング。
林道。行く。舗装だけど。
突然急勾配が現れて
この上になんと絶景風呂があるというではないか。ラッキー!
と思いきや
しょぼーん。
去る。
奥多摩方面に走っていると、目の端にこんな民家を通り過ぎて。しばらく走って気になりすぎるので戻ってみる。手打ちそばと書いてあった。朝から食べてなく腹ペコである。
宿?
御食事、御宿泊とある。
「かんづくり荘」
僕はいつから食べるものを事前に調べたりするツーリングをしてるんだろうか。もちろんそれだって全然悪いことじゃない。だけど、場当たり的に入る食堂ってなんだかワクワクするじゃない。オレの嗅覚はどうなんだと。
驚いた。築300年の茅葺民家だった。そこだけ時が止まってた。
ちょうど入れ違いにお客さんが出て、店内は僕一人。お店のお姉さんが「お好きなところにどうぞ」と案内してくれて、僕は畳の座卓についた。
座卓部屋の天井は少し低い。天井のあちこちに堅牢な梁が渡っている。婆ちゃん家に来たような落ち着き感。
お姉さんと家のことをアレコレ話して、改めてメニューに目を落とす。
うーん、とひとしきり悩んで、やっぱりここはおすすめのセットメニューでいくか。ミニ舞茸天丼Cセットも良いなあ。
「すみません」
「はい、お決まりですか」
「Bセット、をください。季節の天ぷらで」
「天ぷらのセットですね」
「それと、そば玉ぜんざいもお付けしちゃってください」
「ぜんざいは温かいのと、アイス付きの冷たいのとありますが」
「じゃあ、温かいので」
お茶をすすりながら待つ。
縁側にはテラス席もある。
イワナやヤマメの塩焼きは、これからたくさん釣るので頼む必要はない。
「お待たせしましたー」
来ました!
モンブランスタイル!
天ぷら、くー!
「天ぷらはお塩でめしあがってくださいね」
いただきます。合掌礼拝。
まずは蕎麦だけいただく。
と通ぶってはみるが、軽くツユをつけた方が格段に旨い。あーうまい。
「のどごしがー」とかさらに通ぶってみる。誰もいないけど。
フキノトウのほろ苦さ。初恋かよ!うまいよ!
椎茸もジュースだわー。
「お蕎麦、大好きー!」とおじさん一人でガッツポーズしつつ完食。
で、このそば玉ぜんざいの素朴さ。
うんま。
すっかり満足して店を出る。今日は鼻が効いた。良い店見つけたな。
このあとは奥多摩周遊道路のワインディングを楽しんで、奥多摩湖を横目にのんびりと帰路に向かったのでした。帰りも下道で。
さあて、でかいの釣るぞ!(今年こそは)
釣り記事と思いきや安定(?)のグルメ記事でしたね(笑)。かんづくり荘、趣のある古民家にそばや天ぷらなど料理も美味しそうですが、秋とかに泊まってみたいですね。あ、そば玉ぜんざいも食べてみたいですね!いつも思うんですが、novotelさんの食レポは半端ないです(笑)。
nmindさま
どもです!グルメブログです(笑)。
いやいや、あくまでオートバイでふらふらする話です。そば玉ぜんざい、甘さ控えめで素朴な美味しさでした。甘味好きのnmindさんも気にいるはず。天ぷらも蕎麦もうまかったです。おっさんホイホイ的蕎麦屋ですな。お近くにお寄りの際は是非。
コメントありがとうございまーす。
novotelさんのこの手の記事は、「孤独のグルメ」を観る感じで読ませてもらってます笑
スラトン2号さま
どもです!孤独のグルメ(笑)
いやいや、吾郎さんの変態ぶりには遠く及びません。わたしグルメじゃないですしね。結構なんでもいいタイプです(笑)。でも光栄です。コメントありがとうございまーす。