冷凍ピザを試作する

ピッツァは焼き上がり2分以内が一番美味しく食べられる時間だと何かで読んだ。実感としても概ねその通りだと思う。冷めたピッツァを温め直しても、焼きたての美味しさに到底及ばないのは誰しも頷けること。

コロナ禍になる前から、食のトレンドとしては「簡単便利」や「中食」「おひとりさま」がひとつのワードになっていた。以前の職場では食のプロたちを繋ぐBtoBサービスを行なっていたので、そのあたりの時流は耳に入った。忙しい社会人に需要が高いのだという。むべなるかな。

焼き立てのピッツァを食べてもらいたいのは言わずもがな。でももし仮に、焼き立てと同じは無理だとしても、冷凍でも美味いと思えるピッツァができれば、いろいろと可能性が広がる。遠方に住む友達にも届けられるかもしれないし、作りすぎた練習ピザを保存することもできる。あまり期待はしなかったけどとりあえずやってみることにした。

まずピザはどの状態で密封するべきか。
生地だけ素焼きするか、具材も乗せて全部火を入れるか、何もわからなかったけどまずは普通に焼いて封をすることにした。

フードシーラーを買い、真空まで空気を抜いたら生地がぺちゃんこになった(当たり前だ)。これでは流石に食感も悪いだろうと思い、「潰れ過ぎない程良い脱気」と「脱気はせず密封のみ」の二つを作って冷凍した。

家庭で急速冷凍するためには、そういう機能がある冷凍庫に入れることだが、わが家にそれはない。簡単でお安くて近い効果が見込める方法として、冷やしたアルコールを利用した「液体凍結」を試す。

急速冷凍が良いのは、食品内の水分が凍る-1〜-5℃の温度帯が長いほど細胞を壊しやすいため、そこをいかに早く通過させるかが鮮度を保つ鍵になるから。家庭用の冷凍庫は空気で食品を凍結させるので時間がかかる。冷やした液体の方が熱伝導率が高く、早く凍らせることができる、はず。

とうもろこし由来のエタノール「フードケア75」の5Lボトルを購入して、ボトルごと冷凍庫に放り込んで冷やした。フードケア75は万が一食品についても植物由来のものなので害はない。エタノールの凍結温度は-114.5℃なので冷凍庫へ入れても凍らない。

-20℃ほどに冷やされたフードケア75を大きめのバッドに入れ、その中に密封したピッツァを沈めた。2〜3分も浸けておくと次第に白く凍ってくる。冷凍庫で凍らせるよりは早いような気がする。ある程度凍ったら普通に冷凍庫へ入れて保存。

何日か経って、食べてみるかと冷凍庫から出して自然解凍。

あとでいろいろ調べると、解凍についても-1〜-5℃の温度帯を素早く通過させた方が良いらしいので、流水解凍などの方が良いのかも。
でも普通の人はメンドーだしそんなことしない。あくまで普通の、一般家庭的なルーティンで美味しくならなければ意味がない。

1時間程自然度解凍してから、これまたどこの家にでもあるようなオーブントースターで焼く。オーブンは少し余熱で温めておく。そのぐらいはするだろう。上の具材がフツフツとしてきて、チーズがとろけてきたら完成。「程良い脱気」と「密封のみ」両方同じように焼いて試食。見た目はあまり良くない。

「密封のみ」
美味しくないなあ。
耳の部分など生地の潰れはないのだが、味が格段に悪い。自然解凍した時にすでに内側に水滴があったから、これは味が落ちるかなあと思ったけどその通り。これはちょっとナシ。

「程良い脱気」
うーん、イマイチだなあ。
密封のみよりはマシ。でも全然だなあ。そしてどちらも時間劣化がすごく早い。あっという間に生地が固くなって食感悪し。

まあ半ば予想通りであるわけで、冷凍はやっぱりダメだなという印象なんだけど、ものは試しと市販されてる冷凍ピザを買ってみた。近くのクイーンズ伊勢丹でたまたま見つけた、楽天で一番売れてるというPIZZAREVOのマルゲリータ。税別680円也。

検証。

大きさは22〜23cm。どうやら生地だけを素焼き、ソースや具材はあと乗せで火を入れず密封。真空までいかず、程良い脱気具合はテストしたものに近い。

1時間ほど自然解凍して袋から出す。見た目もなんか、僕のよりだいぶ美味そう。

同じくオーブントースターで焼く。チーズとバジルの香りが良い。

焼き上がり。奥様と頬張る。

うーん、まあ。なんだな。こんなもんだよな(笑)。

僕のよりは美味しいけど、でもやっぱりすぐ固くなるし、もう一回買うか問われるとどうでしょう。宅配ピザの味ってもう全然覚えてないんだけど、どっちを買うのか微妙なところ。値段が安いのと保存が効く点だけがメリットか。

美味しい冷凍ピザ。
その期待値はかなり低いけど、もう少し何か試してみようかな。

 

 

 

 

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