HOBART A-120T

4年ほど前から見よう見まねでピザ作りを始め、これまでずっと生地は手捏ねしてきた。生地を触ればどんな状態なのか、ある程度わかるようになったのはこれの賜物である。このまま手捏ねを続けるのもいいが、仕込み量も回数も今より増やしたいので、以前からミキサーを物色していた。

で、ついに買いました。HOBART A-120T もちろん中古。

数年前のモデルですでにディスコン。ボウル容量は12クオート(11.4L)。ざっと見積もっても一度に50枚分は捏ねることができる。(よくよく調べたらピザ生地だとそこまでいけないかも。せいぜい20枚分?)

写真のとおりワイヤーホイッパーしか付属してなかったので、ebayで別にドゥフックを買った。業務用ミキサーで100Vのモノはあまり種類がなく、100V60Hzのミキサーを永らく探す中で、MADE IN USAであるHOBARTはその色も形も無骨さも気に入って探し続けた。

たまに出物もあるにはあったが、状態の良いものはどれも20万円近くしてまあそれもやむなしかと思い始めた頃。

そんな時に現れたA-120T
当初は20クオートを探していたけど、12クオートでも良いかと判断し予算もだいぶ抑えられたので決めた。やや小さめとはいっても重量は70kgを超えるので、僕一人では持ち上がらない。重量物なので西濃運輸も個人宅には送ってくれず営業所どめになるので、大阪の義母が営む店舗に送ってもらうことにした。

配送日に奥様と二人で待つ。
西濃運輸のトラックが停まって、男性二人がパレットに積まれたミキサーを下ろすが、フラついたので手を貸す。大の男3人がかりである。用意してた台車に載せてもらってとりあえず一息。しげしげと観察。

うーん、「機械」って感じでやっぱ良いなあ!

ふと、僕がなぜこういうモノに惹かれるのかと思ったら、父が使っていた工業用ミシンに通ずるものがあるのかと思った。

父はかっこ良くいえば鞄職人で、僕は幼少の頃からミシンのけたたましい騒音を聞きながら寝た。父が使う道具はどれも重く、古びていて、鉄そのものという質感があった。

昨今よく目にするお洒落なガレージとピッカピカの道具たち、という世界観とは真逆で(あれもある意味薄ら寒さすら覚えるが)、父の仕事場はクタクタに使い倒された単なる作業場だった。

道具はどれもヌメヌメと黒光りしていたし、埃と油と鉄の世界。大人になってから僕は、それはとても格好良いものだと思うようになった。
すでに父は引退してそのミシンも家には無い。父はずいぶん歳をとり、今は病院に長く入っている。そんな親父にもこのミキサー見せたいなあ。

お義母さんの店に置いとくわけにもいかないので、台車をヒーコラ引いて、奥様のスタジオに移動。どうにか部屋にあげて早速の試運転。動作確認オッケー!3段変速問題ナシ!

ドゥフックもまだ無いし、しばらくは大阪に保管予定。使えないのは残念だけど良い相棒が来てくれた。手捏ねとは仕上がりが変わるだろうから、また鍛錬しないと。

 

 

 

 

ピッツァ雑感

飽きもせず週に1〜2回はピッツァを焼いています。

一回に作る枚数は4〜8枚くらい。もっとたくさん仕込んでたくさん焼きたいのですが、食べる方がさすがに飽きてきました。でもようやく打率が上がってきたというか、及第点と思えるものが焼けるようになってきました。

自家製酵母も順調に醗酵してくれてます。
オイルコーティングされていないオーガニックレーズンを使っていますが、活性が高すぎて蓋を開けた瞬間、何度か噴出させました。人が心地よく居られるこの時期は、おそらくピッツァにとってもいい季節なのです。

ピッツァはいろんな可能性を秘めていると思うのです。
ナポリピッツァの生地は、水、小麦粉、塩、イースト、この4つだけで作るという決まりがあるのですが、こないだ目にした本には真っ黒な生地のピッツァが載っていました。おそらくイカ墨を生地に練りこんでいるようです。イカ墨を具材にしたピッツァはつい先日いただく機会がありましたが、黒い生地はそれ以上のインパクトがありました。他にも、米粉を使った生地なども載っていました。

これらのピッツァを邪道と切り捨てるのは簡単。ですが、僕はそうは思いません。だって、面白いじゃない。美味しかったら別にいいじゃない。僕はイタリアに傾倒してるわけでもなんでもないので、真のナポリピッツァである必要なんて、ほんの少しはあるけどあんまりない。美味しくなるなら枠なんか飛び越えちゃえよと思っているのです。だから創作ピッツァというものにも好意的ではあるのですが、では、自分が4つ以外の材料を入れるかといえば入れません。なぜか。たいして美味しく出来ないからです。

とあるピッツェリアには「素焼き」というメニューがあります。素焼き。素のまま焼くこと。これは侍のように潔い。
実際には「素焼きと発酵バターと塩」「素焼きと生ハム」というメニューなのですが、まるっきり引き算の方向でかなり自信がないと出せないメニューではないかと。「生地を味わってみやがれ」という店側の気概がうかがえます。是非とも食べてみたい。

クアトロフォルマッジというピッツァがありますが、先日初めて焼いてみました。4種のチーズにはモッツァレラ、パルミジャーノレジャーノ、リコッタ、ゴルゴンゾーラを。

なぜこれまで作らなかったかというと、こんなにチーズばかり乗せなくてもいいんじゃないか、という疑問をどこかに抱えていたからです。このメニューにして元も子もないのですが。

でもどこのピッツェリアにもあるし、人気も高いので作ってみました。クアトロに合わせるために、ライチの木から取れたという蜂蜜を買ってみました。チーズ三昧であるクアトロには、フルーティーでさっぱりとした蜂蜜の方が合う気がして。

ひとくち頬張るとすごいチーズ感。そりゃあそうです。4種類も乗ってんだもの。ゴルゴンゾーラの主張もなかなかのもの。で、ライチ蜂蜜をぐるっとかけてパクリとするとなるほど、チーズのトゲトゲしさがかなり落ち着いて良い感じに。誰が考えたか知りませんが、背徳感あるなと。どうも僕にはToo muchな感じです。でも食べ進めていくうちに、ちょっとクセになる。ワインを合わせると贅沢な気分に。

生地が旨ければ具材なんか何乗せても旨いと、以前は大した考えなく思っていたんですが、意外とそうでもない。生地の旨さは具材との相性で引き立つのだと思うと、ピッツァって面白いなと思うのです。

 

 

 

 

熟女の気難しさ

岡山から帰ってきてすぐに、レーズン液を作り直して元種を醗酵させる。前回はだいぶ余らせたので量は控えめに。レーズン酵母の醗酵を待つ間、白神こだま酵母で何枚か仕込む。

生地を24時間寝かせて、これ以上醗酵を進めたくない状態で冷蔵庫保管。
今回はすぐ焼かず、冷蔵庫で中一日寝かせてから焼成する。なぜなら、生地を常にストライクゾーンの時間帯で焼けるとは限らず、冷蔵庫で品質管理することは必要不可欠であるため。この訓練も必要なのである。残念ながら、これまでこの工程を踏んで美味しくできた試しがない。

生地は時間が経つほど熟女のような肌質になっていき、弾力のあるフレッシュさがなくなる代わりに、もっちりとした熟成が進む。悪く言えばダレるので重く感じる。好みの問題ではあるが、フレッシュな生地の方が扱いやすいし美味しいと感じるのは、僕がまだ青二才だからだろうか。

冷蔵庫に入れた生地を焼成の2〜3時間前に常温に戻すのだけど、また張りのある生地になるかといえばならない(僕の場合)。艶や潤いはしっかりあるものの、どこかに哀愁と気怠さと、場末のスナックが見え隠れするのである。それが熟女の良さでもあるが。

熟女マルゲ。
正直なところ全然納得いかず。生地がイマイチすぎる。
熟女の気難しさが3分の1、こだま酵母の不満が3分の1、僕の未熟さが3分の1。

落ち込んでる暇などないので次を仕込む。

いよいよ待ちに待った「江別製粉はるゆたか100%」25kg袋が届く。

間違いなく江別製粉製なのは25kg袋しかないので、子供の体重ほどある箱が送られてきた時は腰いわすかと思った。使いやすいように5kgの小袋に分ける。

それから、マンチ先輩からオススメされてた、ペガサスのピザカッターとスクレイパーも購入。先日届く。

これは質感も握りも良くて大変気に入りましたよ。良い道具はアガるなあ。

 

 

 

 

 

なるべくたくさん焼いてみる

連続で複数枚のピザを焼きたくて。

友人のLINEグループで投げかけてみたら、食べたいと手を挙げてくれて。持つべきものは友だわー。

10枚デリバリーすることになって(自分でね。バイクでね。)12枚分を仕込む。

・水:750cc
・はるゆたかブレンド:1,388g
・海塩:40g
・レーズン酵母元種:25g

モッツァトゥーラして。

36時間じっくり低温醗酵。

LINEで製作工程の一部始終を実況する。
あ、焼成はその余裕なく完成後の写真のみ。でも皆、自分のピザがどのような流れで作られて、届けられるのか目で見てわかるので、楽しんでもらえたのではないかと。

なんとか12枚連続焼きして、部屋中ピザだらけ。皿も足りずにてんやわんや。

10枚デリバリーしたことなんてないから途方にくれたが、なんとかパッキングしてセローに積み込み配達完了。

次々と感想が送られて。概ね喜んでもらえたようで胸をなでおろす。貴重なご意見は次回の参考に。

でもやっぱり、焼き立てを食べてもらいたいなー。

 

 

 

 

自家製酵母でピッツァを焼いたら

レーズン液30g+粉30gを混ぜて、12時間後にまた水30g+粉30gを加える。
倍量くらいに増えたら、約8時間後さらに水30g+粉30gを加えて、元種完成。

こんな分量が果たして必要なのかわからないが、右も左も分からない僕はYouTube先生の言うがままなのである。

あとでマンチ先生に聞いたら、こんなに沢山増やしてなかった。

まあ、活性も高いみたいだし良しとする。

果たしてどのぐらいの量を加えたら良いのかもさっぱりわからんのだが。今回はとりあえずテストなので、4枚分くらいの少量を仕込むことにする。

コネ具合をみながら野生の勘で酵母を加える。以下、お試しレシピ。

・水:250cc
・はるゆたかブレンド:463g
・海塩:18g
・自家製レーズン酵母元種:17g

前回の半分量のつもりで捏ね始めたけど、酵母量に気を取られて塩の分量をつるっと間違える。小学校の算数ができなかった・・・。
想定より5gくらい塩が多くて、少し塩辛い生地に。俺のばかー。

塩分過多のせいか醗酵は随分ゆっくりしたものだったが、この時は知る由もなく。

しかしゆっくりと醗酵してるので、慌てずに36時間以上置くとこんなに艶やかなベッピンさんに。

よし、焼くか!

あちなみに、うちのOoni Kodaのガス連結はこんな感じです。OD4連にしたいけどボンベの幅的に無理なので、OD缶2+CD缶2の構成にしてます。いっそプロパン導入しても良いかも。

奥様のリクエストで、子供も大好きツナコーンマヨ(笑)。うまい!

ハンサムマルゲ!

ベーコンとズッキーニ。

残りもの(笑)。

 

初自家製酵母の総評。

生地の塩味が強いのは棚の上にぶん投げて、総じて、生地感はとても良かった。控えめにいってもチョーうまい。奥様からもこれまでで一番と高評価。このレシピだとやや生地が固めではあるが、長時間醗酵したせいか弾力はあって伸ばしやすい。これまで、コルニチョーネが今ひとつ軽く仕上がらなかったのだが、レーズン酵母のお陰なのかフカッサクッと焼きあがった。返す返すも残念なのは、塩分量を間違えたことだ。

自家製レーズン酵母の可能性を見た。さらに追い込んでもっと旨いピッツァを焼くぜよ。江別製粉はるゆたか100%も、25kg袋しかないけど購入する所存。

 

オマケ。

入れすぎたついでに僕の塩ラインナップを紹介。全てイタリアの天然海塩。

上からシチリア島の粗塩「モチアサーレ インテグラーレ グロッソ」、サルデニア州の細挽き塩「リサル・フィーノ」、エミリア・ロマーニャ州の粗挽き塩「サリーナ・ディ・チェルビア サルフィオーレ」。とかいう奴ら。