ピザ好きの友人に初めて振るまう冷めたピザ

世界中が風邪をひいたせいで輸入品も入ってこない。

Ooni KODA(UU-P06A00)というポータブルタイプのピザオーブンを教えていただいて、これはちょっと良さそうだと購入を決めたのだが、肝心の商品が手に入らない。世界中で在宅が増えたせいかアメリカでも品切れが続き、挙句Covid19の影響もあって入荷は何ヶ月先になるかわからない、というのが輸入代理店からの回答だった。

見積もりだけもらってしばらく様子を見ていたが、ついにはサイトから注文することすらできなくなった。残念至極。先になってもオーダー入れとくべきだったか。「入荷の見通しが立ったらメール下さい」とお願いして引き続き様子見。

定期的にワイン会と称して、酒好きの友人宅でワインやシャンパンをアホみたいに飲むという会を催しているのだが、コロナがあってもちろん自粛。しばらくはオンライン飲み会などでお茶を濁していた。
緊急事態宣言が解除されて1ヶ月半が過ぎ、そろそろいんじゃね?と再開した。そうはいっても用心は怠らない。窓は開けたまま1.5メートル程度のソーシャルディスタンスを保ち、フェイスシールドをしての飲み会。不便ったらありゃしない。食べ物もシェアせず個別に取り分けた。結構真面目なオジサンたちである。最終的にはシールド剥いでがーがー寝てたオジサンもいたけど、今後もこういった流れは続くのだろう。

その会で、いつか自作のピッツァを振るまえたらと考えていたのだが、今回満を辞して持参宣言。僕がピッツァをわりと真面目に作っていることは仲間も知っていたし、何しろホストは結構食べ歩いてる無類のピザ好きで、そんなやつに食べさせるのはやはり勇気がいったのだ。ボロカス言われたらきっと凹むだろうなと。
でもよくよく考えてみたら、何様なんだと。オレは単なるピザ好きの素人じゃないかと。むしろ、味のわかるやつに食べてもらって意見をもらう方がいい。

でも人に食べてもらうなら、やはり「うまい」と言わせたい。絶対に失敗はしたくない。ただでさえ冷めたピザという大ハンデがあるのだ。なので、前日練習した(笑)。

 

レシピはいつも通り(2枚分)
・江別製粉はるゆたかブレンド:200g
・白神こだま酵母:4g+ぬるま湯12g → ぬるま湯に入れてから5分くらいは触らない。少しおいて混ぜる。
・水:100cc
・塩:3g

最近になってようやく、白神こだま酵母の扱いがわかってきた。

味は文句なくうまいのだがデリケートで、醗酵具合も気温の影響を受けやすい。最適のタイミングで焼かないとすぐダレる。伸ばしもあまり触りすぎるとすぐゴム化する。扱いは難しいが全く雑味がない。

塩はイタリアの海塩。

マルゲリータと、チキンとレンコンとアスパラのピッツァを焼いて嫁さんと食らう。

うん、まあまあか。
以前ものすごく美味しくできた時があって、それに比べると劣る。今日の反省点を生かして明日も粉をこねる。手ごね30分は結構重労働である。右手の親指にはピザだこができている。

翌日は3枚分。昨日の1.5倍増しで材料を混ぜて、こねて焼く。

マルゲリータ2枚と、チキンと夏野菜のピッツァ。

自作の箱に入れて友人宅へ。
オーブンで少し温めなおして、いざテーブルへ。

評価は上々でした。いやむしろ、褒めすぎだろうという感じ。高校生の娘も加わって(この娘もまたピザグルマン)皆で頬張る。

ピザ好きの友人からも「予想の遥か上いっててシャンパンの旨さが負けた」と絶賛され溜飲を下げる。「これが家庭用の電気調理器で焼いたというのも驚き。窯買ってさらに焼き立てだったらとんでもなく美味いはず。」

ああ、人に食べてもらって美味いって言われるのって、こんなに嬉しいことなのね。
今度は焼き立てを食べてもらいたい。「この10倍はうまい」と気分良くなって豪語する。

次回のリクエストとして「イタリアの粉も食べてみたい」と仰せつかったので、カプートサッコロッソでも焼いてみる。

 

 

 

 

江別製粉はるゆたかブレンド+白神こだま酵母最強説 〜マルゲリータ、チキンと蓮根

よし、久しぶりに作るか。

レシピ(2枚分)
・江別製粉はるゆたかブレンド:200g
・白神こだま酵母:4g+ぬるま湯12g → 24時間醗酵器入れて1週間冷蔵庫
・水:100cc
・塩:3g

白神こだま酵母を24時間発酵させて冷蔵保管。一週間後には沈殿した酵母と上澄み。暖かい部屋に少し出して常温以上に戻す。
粉を二回ふるいにかけてから塩水を中央に半分ほど注ぎ、周りから粉を崩して水を含ませる。少しこねながらさらに半分の水と酵母を足し混ぜる。残りの水で醗酵器に残った酵母を溶かし、すべて混ぜてあとはひたすら手ごねすべし。

空気を抱き込ませながら黙々とこねる。いつもながら重労働。最初は固めだけど20分ほどこねるといい感じなのがヒシヒシと。ちょうどいい粘度。30分こねた後は親指に水ぶくれができる。つきたての餅のようになったら濡れ布巾をかぶせて1時間寝かす。

1時間後に見ると絹のように美しい生地目。等分してさらに丸め、番重に軽く粉を振って二つの生地を置く。気温が低いので暖房の効いた部屋に置いて醗酵を促す。

その間買い物。北海道のモッツァレラ、シュレッドチーズ、フレッシュトマト、トマトソース。バジルは数日前に買ったものがまだ香りもあったので。家にあった鶏もも肉と蓮根スライスを軽く塩胡椒してガーリックオイルと白ワインでソテーする。

夜外出してしまうので、6時間半で生地を出す。あと1時間ほど寝かせたいけど仕方なし。最後の30分はストーブの前に置いて暖める。膨らみは弱いけど柔らかさは良い。スケッパーで繊細かつ大胆に生地を出して、打ち台に乗せて伸ばす。

すごくいい感触。柔らかすぎず固すぎず。触りすぎないように。
細かく切ったフレッシュを混ぜたトマトソースをぬり、モッツァレラ、シュレッドチーズ、バジルをちぎってパルミジャーノ。オイルをひと回ししてしつこいほどプレヒートした焼き器へ。3分未満で焼き上がり。バーナーで炙って焼き目をつけ、追い生バジル。

実食。

1枚目、マルゲリータ。

すごくうまい。たぶんこれまでで一番うまい。軽い。
江別製粉と白神酵母の組み合わせはやはり素晴らしい。一切の雑味なし。フレッシュトマトを混ぜたソースも悪くない。店の窯焼きと比べると香ばしさに欠け、いくらかガム化を感じるけど、これはもう電気調理器での限界とも思う。奥様からも太鼓判。

ここぞとばかりに岡山の友人で陶芸家の、寺園証太さんの備前焼をおろす。素敵すぎる皿。これでピッツァの味も2割増し。

2枚目、チキンと蓮根のピッツァ。

すごくうまい。蓮根のシャキシャキ感たまらない。蓮根にもう少し下味付けても良い。エリンギなどのキノコを合わせても良い。チキンは良いなあ。生地も1枚目同様うまくいった。

今回は自分でも初めての及第点。これの確率をあげること。
気温と湿度も考えて生地の状態を伺うべし。

 

 

 

Pizza Indy’s(再訪)

ご夫婦でハーレー乗りでもある店主は、僕らが店先にバイクを乗りつけると扉をあけて、「いらっしゃい」と声をかけてくれた。

お店の代名詞であるクイックデリバリーも未だ健在。5人のツーリング仲間で千葉のIndy’s再訪。2年5ヶ月ぶり。

入店してからも奥様が「寒い中ありがとうございます」と気づかってくれて、バイク乗りにとっては同じ目線でちょっと嬉しい店である。

趣味の世界をこれでもかと詰め込んだインテリアの楽しさは以前も書いたので割愛するとして、今日は5人のメンバーで数種類のピッツァをシェアしようと息巻いてきた。いや、息巻いてるのは僕だけかもしれないけど。

席についてメニューに目を落とす。

「5等分も大丈夫ですよ」
水を運びながら奥様がそう言ってくれたので、5種類のピッツァを選んで1ピースずついただくことにする。オーダーは次のとおり。

自家製ベーコン&トマト&野菜のピッツァ

釜揚げしらすのピッツァ

チョイ辛!チリビーンズのピッツァ

アボカドとネギのピッツァ

自家製アンチョビ&パイナップルのピッツァ

 

ご覧のとおり、トッピングはすべてオリジナルである。創作ピッツァというべきか。
真のナポリピッツァと呼べるのは、原則的には「マリナーラ」と「マルゲリータ」の2つだけなのだが、美味しければそんな定義はどうでも良いことでもある。

マリナーラ、マルゲリータはもちろん、クワトロフォルマッジ、ビスマルク、ビアンカ、ジェノベーゼ、オルトラーナなどの定番すらない潔さ。あえてオリジナルを選んだわけではなくて、定番がないからこのようなオーダーになった。ちなみに前回食べたのは「マルゲリータ」と「自家製ベーコン&トマト&野菜のピッツァ」のハーフ&ハーフ。

次々と焼きあがってテーブルに運ばれてくる。切り分けられたピッツァをすぐに頬張る。

うん、そうそう、この生地だ。うまいね。

あっさりはしてるけど物足りなくもない。日本人が好むであろう丁度良い線を狙ってきてる。噛みしめると奥に食べ慣れたアノ風味を感じるので、多分カプートと国産小麦のブレンド。これが良いバランス感。もっちり感はかなりある方で、でも薄いし軽いので腹に溜まらない。コルニチョーネもエアリーで美味い。ダルメシアンスポットも。

生地はやっぱり美味しい。美味しいんだけども・・・。

件のトッピングについて、極私的感想。

まず、定番には定番なりの理由があるのだと思った。
個人的な好みでいえば、マルゲリータをやっぱり越えてこない。あれほどシンプルなのに、やっぱり絶対的なエースなんだあの具たちは。ナポリピッツァは具によって、その味が全く変わって別物になると実体験を通しても思う。海苔としらすを頬張った時は「餅みたいっすね」と言ったメンバーの言葉が言い得て妙で、刷り込まれた日本人の味覚がもっちり感とも相まってそう連想させてしまう。和風ピッツァはかなりハードルが高いと思う。王道を食べたかったなという点で、少しだけ残念。

瓶コーラが誇らしげに。

でもでも、かなり美味しいですよ。
生地は本当に繊細な美味さ。近所にあったら店主の趣味もリスペクトしつつ、通っちゃうレベル。ごちそう様でした。

 

 

 

これまでで最低の見た目で、これまでで最高の味になったピッツァ

家じゅうの粉を使い果たして、二子玉川高島屋の富澤商店まで買い出し。どれにしようか品定めして、以下の3点をチョイス。

  1.  はるゆたかブレンド(北海道:江別製粉)
  2.  ルスティカ(フランス・北米他)
  3.  カプートサッコロッソ00番(イタリア)

カプートはいつも通り。
はるゆたかは以前、ブレンドではない「はるゆたか100%」表記のものを買ったんだけど、正直あまり特徴のない粉で物足りなかった。今回買ったのは「はるゆたかブレンド」なんだけど、注目すべきは「江別製粉」であること。

江別製粉のはるゆたかといえば、これまで食ったピッツァの中で、頭ひとつ抜けて美味いと言い切れる、大阪梅田のガレリアが使用する粉である。もっとも、ガレリアで使われるのは「江別製粉のはるゆたか100%」という希少な小麦粉を独自ルートで入手しているらしいので、これはおいそれと手に入らない。以前買ったはるゆたか100%は、江別製粉のものではなかった。

「100%」を優先して選んだのだが、ふと「江別製粉」があの美味さの肝なのではないかと。

早速帰って作ってみよう。と思ったら、あると思ってたホシノ天然酵母が切れていた。仕方なく近所の自然食品を扱う店で聞いてみたら、「ホシノ天然酵母は無いけど白神こだま酵母ならあるよ」と。

聞いたことないしドライだし、金額も2,200円ほどしたので躊躇ったけど、店の親父がやたら美味いと勧めてくるし、奥様もどうせパンにも使うから買ってみようということでお買い上げ。

種起こしがいらないと書いてあるけど奥様が少し調べてみたら、数分でも発酵させた方が断然美味いという情報を得て、水で溶いて15分ほど発酵器に入れる。で、以下のレシピで手ごねスタート。

・はるゆたかブレンド 200g
・水 110cc
・塩 3g
・白神こだま酵母 1g+水少々

こね始めこそ国産粉特有の固さがあったけど、20分を過ぎると急にシルキーになった。

まだだね。

きっちり30分こね上げて、滑らかになったところで濡れ布巾をかけて1時間休ませる。ちょーーーっと軟らかすぎるかも。酵母を溶いたぶん加水率が高かったか。

1時間後に二等分して番重に入れ、7〜8時間発酵する。

最近、どうも発酵させると生地がダレる。過発酵気味なのか水分量が多いのか、はたまた酵母のせいなのか、ペターっとして粘り気が強く、番重から崩さぬに取ることができないほど。この日は発酵時間も長くなってしまい、ダレダレ感は見るからに明らか。案の定カレーナンみたいに崩れまくってどうにかロースターに入れて焼いた。全く期待できず。

1枚目、趣向を変えてシーザーサラダピッツァ。
しかしひどいね(笑)

カッターで切り分けてひと口頬張る。

 

「・・・・・」

「え?」

「ん?」

 

「これさあ、美味いんじゃないの?」
「美味しいよね」
「形は悪いけどね、美味い」
「これ、今までで一番美味くない?」
「美味い美味い」

なにせ生地が美味い。こんなに失敗してるのに不思議なほど。カプートのように濃くもなく、かといって淡白で物足りないわけでもない。さっぱりしてるけどちゃんと粉の味があって食べ飽きない。日本人向きとはまさに。

2枚目(見た目は三枚目)、マルゲリータ。これもひどい(笑)。

でも、やっぱりうまーい!!

「ホント美味い、美味いよ」

江別製粉なのか、白神こだま酵母なのか、その両方なのか、よくわからないけどある種理想としてた味。電気ロースターでここまで美味いんだから、窯なら人に食べさせられるレベルかも。なんか見えたかも。

この組み合わせでレシピを見直して、完成度を上げるぞな!

 

白神こだま酵母:粉に対して2%(200gなら4g)を3倍のぬるま湯で溶いて5分待つ

次回レシピ(湿度が高いので加水率を下げてみる)
・はるゆたかブレンド 200g
・水 90cc
・塩 3g
・白神こだま酵母 4g+水12g

 

 

 

オレ、迷うことなかれ

マンチズで同級生と出会ってからピッツァ熱が再燃し、書いてなかったけどあれから何度か焼いている。

初めてドライのビール酵母も試してみて、『サフドライイースト以上、ホシノ天然酵母未満』という感想を持った。やっぱり酵母は生タイプの方が何かと良い気がする。雑味はないし、風味というか優しさがワンランク上。マンチズがお勧めする「自家製レーズン酵母」はさらにそれを上回るかもしれない。いつか試してみたい。

さて、今のところホシノ天然酵母が最良との判断で、酵母を仕込んで生地をこねる。相変わらずの手ごね。うちでは奥様と2枚しか食べないので充分対応できるが、今後もある程度先を考えるならミキサーの入手も考えては、とは師匠からのアドバイス。スパイラルかダブルアーム型になるが、まあ小型の100Vで中古のスパイラルでもあれば検討するかも。むしろ焼きをどうにかしたい。

単に旨いピッツァが食いたいのであれば、やまもんさんが購入された「roccbox」とか、それは無理でも「Uuni3」なんかを買ってしまうという方法が手っ取り早いのだが、実はそれだと自分の目指す方向とは違うのである。何がどう違うかはいつか機会があれば書くとして、簡易ピザオーブンは僕の欲するところではなかった。

では他に方法があるのかと言えば、めぼしい解決策は浮かばない。都内の借家住まいでは庭に石窯建てるわけにもいかないし(そもそも庭がない)、あいも変わらず家電であるピザロースターで焼き続けるしかなかった。

前回メモしたレシピで。分量を少し減らして小さめに。
・カプート 140g はるゆたか 60g 計200g
・水 110cc
・塩 3g
・ホシノ天然酵母 14g

マルゲリータと

ベーコンとしめじのピッツァ。

若干の過発酵。
マルゲリータは破けてしまって失敗。

生地の感じはいつもと変わらず。
いつもこの感じ。
なんだか満足できない頭打ち感。

でも、焼成以外問題がないかと言えば、まだ全然そんなことない。発酵も生地の管理も伸ばしもまだまだである。窯がどうこういう前にやるべきことがあるな。

 

「とにかく焼き続けること」今は師匠の教えを守ろう。