惨敗で始まる2020年渓流釣り【例年どおり】

タイヤとブレーキパッドを交換して、ホイルベアリングを打ち直したセローにまたがって、僕は以前下見した秋川渓谷へと向かった。僕はときどき、綺麗な川に向かって細長い棒を振り回すという遊びをする。

ヒュンヒュンと空気の層を切って棒を振り回すことに、心の安定を覚える。棒の先端にはたまたま糸と虫を模した針が結ばれているのだが、そこに大きな意味はない。間違っても魚を騙して引っかけようなんて気持ちは微塵もないのだ。

秋川下流に着いた僕は、一軒のコンビニエンスストアに入り、日釣り券という紙の札を買った。川で棒を振るにはこの券が必要なのだという。棒を振り回すだけで二千円。難儀なもんだな。でも僕はこう見えて小心者なので、二千円を支払ってお姉さんから紙の札を受け取る。横を見るとネピアのトイレットペーパーが売っていて、この紙も必要だったなと思い、シングルロールを手に取って一緒に会計する。今やこの尻を拭いて流すだけの紙を、長蛇の列をなして求める人がいる。難儀なもんだな。

テレビ朝日のドキュメンタリー、「宇宙船地球号」が大気汚染などの環境悪化から地球を守るための対策を世に示した番組だとすれば、僕のセローはうちのトイレ環境を守るための宇宙船ネピア号である。

ネピアを積みながらツーリングし、ネピアを積みながら川で棒を振る。

ふらふらと川の様子を伺いながら、容易に降りられそうな場所を見つけ、着替えて川に降りていく。棒を振り回すだけなら着替える必要はないじゃないかというアナタの言い分もわかる。

でもその辺は流儀にのっとって、濡れてもいい格好で川を遡上していく。もちろん棒を振り回しながらである。

この流れの窪みなどはもう振りたくてたまらない。

ヒュンヒュンと物悲しくも心の浮き立つ音が響く。ここも、美しい渓だ。もちろん魚の気配などは感じない。そんなことは大した問題じゃない。

穏やかだったチャラ瀬のエリアから、荒々しいゴーロに川がその姿を変える。僕の細長い棒が俄然凄みを増してヒュンヒュンと鳴く。

それにしても、川に全く生命反応を感じない。棒振り戦線異常なし。ふと先に目をやると、150メートルほど上流に先行者がいるではないか。なるほど、ここは長居しない方が良さそうだ。

細長い棒をいったん置いて、菓子パン頬張りながら小休止。このあと渓相が良くなっていくけど、ここは撤退して他へ移動しよう。

ネピア号に乗って上流へ。
以前下見したのは南秋川と呼ばれる流域だったが、ふと思い立って北秋川エリアに入ってみる。

どっから見ても買い物帰り。

階段で降りられる。

最後は傾斜を滑り降りて川へ。

いいじゃないの。美しい渓で僕の棒振りも冴える。ヒュンヒュン!ヒュンヒュン!

しかし、何も起こらないね。

三連休だし、散々叩かれてるか。

ヒト、ですよね?

糸にわずかな動きがあって、ちょいと棒をあおってみるとチイサイズが。

うぅ、稚魚でした。しかも顎にスレてしまった。ごめんなさい。リリースしたけど生きられるだろうか。ごめんよ。

ちょうど階段があったので納竿。

道路を歩いてネピアまで戻る。

いた。

帰る。

翌日。

天気も良くて。なんかまた棒を振り回したくなったので、

急いで仕掛けを準備してセローで出かける。ネピアは下ろしてある。

12時出発。遅すぎるけど開き直って夕マズメ狙い。

ノンストップでぶっ飛ばして現地着、14時45分。
いつもなら帰り支度して引き上げる時間だけど、今日はここからスタート。

いつもの道志川支流、櫓沢川。

久しぶりにツーリスト以外のタイヤ。セローにブロックタイヤも結構いいね。

これまた変わらずに薄気味悪い、廃業したキャンプ場を抜けて

堰堤の先から入渓。

さあ、高らかに棒を振り回すぜ。

以前の骨折現場。

しかし、釣れない。

廃墟ゴールで納竿。

崖をよじ登って

てくてくと林道を歩いて戻る。

いた。

お待たせセロー。

 

3時間かけて走って来て、千円払って札買って、2時間棒を振り回して帰る遊び。

また行こっと。