はかりめ丼と林道遊戯

「はかりめ」とは千葉県富津市でよばれる穴子の別称である。
はかりめと聞いて音が似ているせいか「めひかり」を想像してしまい、その手の白身魚かと思ったが、実際は江戸前穴子のこと。穴子の側線孔が棒はかりの目盛りに似ていることからこう呼ばれるようになったらしいけど、棒はかりを知らないのでなんともである。

これまで何度も千葉をツーリングしては、いろいろとご当地グルメを食べた。海鮮丼の類はもちろんのこと、アリランラーメン、竹岡ラーメン、勝浦坦々麺、はまぐりラーメン、いすみ豚、黄金アジフライ、ナポリピッツァにビンゴバーガーと枚挙に遑がない。

しかし、千葉は広い。
調べれば名物と呼ばれるものが他にもゴロゴロ出てくる。はかりめ丼もそのひとつで、なんとなく調べていたら旨そうな写真が目に飛び込んできた。寒さですっかり腰の重くなっていた冬ツーリングへの触手が動く。よし、こいつを食べに行くか。

お店のFacebookを見たらなかなかの人気店らしく、「本日はご予約のお客様で完売です」なんてコメントもあったから、前日に予約の電話を入れたらお休みの日で連絡つかず。いつもながらの当たって砕けろ精神で、朝セローを出す。

キャブをオーバーホールしてから燃調がかなりシビアだったということがわかり、パイロットスクリューを8分の1回転ごとに微調整してようやく落ち着いたセロー。冬だしちょっとだけ濃い目に振ってある。

高級なチープカシオが8時15分をさした頃、拙宅出発。
いつも通り川崎まで一般道。浮島ICからアクアラインに乗る。

海ほたるに寄って富士山パトロール。雪化粧した富士山の勇姿。この日は快晴でいろんな場所から拝むことができた。ここで思いついて、件のお店に電話してみる。何コール目かのあと女将らしき女性が電話口に出た。

「あ、もしもし。すみません、今日のお昼はもういっぱいですか?」
「何名様でしょう?」
「ひとりなんですが」
「ええ、大丈夫ですよ。何時頃お見えになられます?」
「では、11時半頃で」

駄目だったら外房まで出てミックスフライでも食べるかと思っていたが、無事予約ゲット。

まだ時間もあったので、おひとりさま千葉フォルニアをやって、トコトコと富津の海を目指す。

11時過ぎに「いそね寿司」到着。

まさに目の前が海という素敵ロケーション。暖簾をくぐって入店する。

「いらっしゃいませ。あ、お電話いただいた?」
「はい、novotelです」
「カウンターへどうぞ!」

気風のいい大将の声が気持ち良い。店内は地元のご夫婦や、観光客らしき人たちで賑わっていた。9割がた席は埋まっている。予約してよかったな。大将と女性店員が3人ほど忙しそうにくるくると動いていた。運ばれてきたおしぼりで手を拭い、お茶をすすりながらメニューに目を落とす。

「はい、はかりめ丼上がったよ。3番さんね」
「蒸しあがったらこっちにくれる。そう、それね」
「茶碗蒸しあと何分?はい、じゃあご飯2つください」

大将が陣頭指揮をとる。女将と女性たちがテキパキと仕事をこなしていく。息のあったコンビネーション。ふっくらと煮付けられたはかりめに、大将がツメをさっと塗って菜箸で丁寧にご飯に乗せる。たたんっと盆に茶碗蒸しとお新香をセットして客の前に運ぶ。店内が不思議な協奏曲を奏でる。これは、きっといい店だぞ。

ひととおりメニューに目を通したものの、来る前から心は決まっていた。
声をかけようと周りに目を配ると、カウンター越しの大将が言う。

「お決まりで?」
「はい。えーと、二色丼を」
「カウンターさん二色丼」

お茶のおかわりをすすりながら待つ。
10分ほどたって女性が膳を運んでくる。

「お待たせしました。二色丼になります」

大将がカウンターから声をかけてくれる。

「白い方は塩とレモンで味は付いてますから、お好みでネギとワサビを乗せて召し上がってください。山椒もありますんでね」

この白焼き(白蒸し?)が食べたかった。
天然塩とレモン、大葉でさっぱりと味付けし、ガリを敷いた酢飯にのってくる。これ、絶対うまいやつ。まずは何もつけず、ひと切れ箸にとって口に運ぶ。

「あうんめ!」

上品で爽やか。ネギと多めのワサビをのせてさらに頬張る。
一口目、二口目、穴子の風味に生姜の甘酸っぱさが追いかけてくる。我を忘れてかきこむ。まてまて慌てるな、定番の煮付けにも目を向けようじゃないか。

山椒を軽く振り、丼を持ち替えてはかりめ丼を食う。

「うんめ!」

顔がにやける。さわやかとはかりめ交互にいく。お新香がほどよい箸休めになる。

中盤の茶碗蒸しもまたいい。

一気に平らげて余韻に浸る。旨かった。これなんだよ、僕が食べたかったのは。

「美味しかったです。ご馳走さま」と言って店を出る。店員さんの雰囲気もすごく良くて、気持ちよく食事ができる店。

食後は目の前の海をぶらぶら散歩。

お店の方を向いて観音様が見守ってる。

なかなかいいお顔してらっしゃる。

ぼんやり富士を眺める。

あ、そうだ。ついでに仏像見に行くか。

着いた!

東京湾観音様。

赤子を抱くように、大事にお玉を抱えてらっしゃる。こちらもなかなか穏やかな表情。

 

去る。

 

さらに南下して富津金谷ICをぐるっと回り込んで、

本日のもうひとつの目的地、林道金谷元名線

ちょっと空気圧落としてパトロール開始。

さわやかフラット林道で楽しい。

第一の広場に出る。

ほとんど山の無くなったTR-001 TOURISTだけど、空気抜いたら食う食う。このタイヤいっぱい入れたらダメなのね。

竹岡との分岐。向こうは金谷元名線。

こっちは魔の竹岡林道(廃道)。

今はどうかわからないけど、7〜8年前大雨のあと行ったらひどい目にあいました。遭難するかと思った。

さわやかな金谷元名線に行きましょう。

終点?

くはっ!

忍法使ってちょっとワープ。

普通に行けるのかも?

だめかー。

あかん。戻る。

ワープゾーンから出てきた僕を見た、セロー250のお三方が「え?行けるんですか?」という顔を向けてきたけど、走りながら「だめです」というジェスチャーをお返しする。

第一広場まで戻る。

広い。

とりあえず遊ぶ。ぬかるみには入らないけど。

無事帰還。やっぱ林道は楽しいなあ。厚着してたのですっかり汗かいてしまった。

変なコーラで喉を潤す。

時刻は14時。まだ遊べるな。
そこからは一気に県道34号を横断して外房、鴨川へ。

外房の海もいいなあ。

アクアラインも飽きたので、下道で帰ろうかと思ったけどだいぶ遅くなることに気づき、蘇我から京葉道路に乗る。

幕張PAで最後の休憩。

自宅着は19時30分。

なんだか久しぶりに楽しんじゃった冬ツーリング。今年はまた林道行くかなー。

 

 

 

 

 

1件のコメント

  1. お!はかりめ丼って初めて知りました!それも贅沢な二色丼!あのビジュアル、美味しくないわけないですね。いつも思うんですが、novotelさんの食レポはほんと食欲を注ぎますね(笑)。今度食べにいきます!

    • nmindさま

      コメントありがとうございます!
      食レポ、ちょっと演出入ってる?いやそんな事は断じてない。美味しかったですよ。しかし千葉は広いですね、まだまだ知らん場所も食べ物もいっぱい。これから暖かくなりますね、出かけましょうぞ!

  2. 相変わらず臨場感たっぷりの食レポ、勉強になります。はかりめ丼、うまそうですね。こりゃあ食うしかないな。。。
    ハーレーでのんびり長距離ってのも楽しいんでしょうけど、オフ車でぷらっと気軽にみたいなのも、楽しそうですよね。林道を走りたいとは思わないけど。。。笑

    • スラトン2号さま

      コメントありがとうございます!
      スラ・・トン・・で良いんですよね?(笑)わたし奥様の次のマシンわかっちゃった気がするな〜。直近で試乗してたやつ、でわ?まあいいか。
      スクランブラーでぷらっと林道行きましょう。アレなら全然走れますよ〜。

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