SSTR2015準備編 ~選ばれるにはわけがある

 

日差しの暖かかった冬のある日、僕はセローにまたがって、SSTRのスタート地点を探しに行った。探しものをしながら都内をぐるぐる回るのに、セローという乗り物はとても良い動きをする。設計者の思惑はまったく別のところにあるのだろうけど、探しものバイク選手権があったら僕は間違いなくセローで参加する。
エントリーも開始する前のことだから、自分でも気が早いなと思う。一日千秋の思いとはこの事か。それ以来、グーグルマップを眺める日々。満足いく場所が未だ見つかっていない。

SSTRのスタートは、太平洋(もしくは瀬戸内海)沿岸の任意の場所から、日の出と海岸を背景にバイクの写真を撮って、事務局にメールしたのちに出発する、という手の込んだものだ。とても気分が盛り上がる演出だと思う。となると、ドラマティックなスタートにもこだわりたい。東京近郊に限定すると、オートバイと朝日が写真に収まる海岸線は、思ったほど多くないのかもしれない。

どうやら同じことを調べている人は、僕だけではないらしい。我々は今、地図をたぐり、海岸線をくまなく調べている。くまなくと言っても、伊能忠敬のように測量しながら歩き回るわけにはいかない。ネットの地図を頼りに海辺まで続く道を見逃さぬよう、鑑識官の鷹の目をもって、あるいは、背後から忍び寄る敵を肩越しにバッサリと切る剣豪のように、繊細さと大胆さを併せて、自分だけのスタート地点を探している。オートバイが乗り入れられて、さらに美しく朝日が昇る海岸線。太陽を追いかけて走るに相応しいスタートを、狂おしく求めているのだ。

今週はとことん気の済むまで探してやるぞという気概を持って、海岸線をうろうろした。もっとも、東京湾近郊の海沿いなどたかが知れてるんだけど。

【下見1. 暁ふ頭公園】

まずは東京出発組の定番(らしい)暁ふ頭公園を下見。芝生に乗り上げて朝日と海を構図に収めるらしい。なるほど、条件はクリアしている。でもシチュエーションはあまり良くない。工場地帯がすぐ対岸に見えて、景観を損ねている。メジャーポイントだけに、当日の混雑も予想される。

【下見2. 若洲海浜公園】

東京ゲートブリッジを渡り、若洲海浜公園へ。シチュエーションは申し分ない。こんな場所で朝日とバイクを写真に収め、走り出したらさぞかし気分が良いだろう。残念なことに海岸線までバイクを乗り入れることが出来ない。つくづく残念だ。肩を落として撤収。

【下見3. 東京ビッグサイト奥の堤防広場?】

釣り人多数。エンジンを切って押して入れば、写真を撮るくらいは出来そう。雰囲気も悪くない。しかし日の出日の入りマピオンで5月30日の日の出方向を調べると、海側とは真逆。道路側から朝日が昇る。これでは写真に収められない。うなだれて撤収。

【下見4. 有明西ふ頭公園】

海沿いまで乗り入れ可。残念なことに上記同様、日の出が逆である。堤防広場の延長線上だから当然と言えば当然だ。

【下見5. フェリーふ頭突端】

東京湾フェリーターミナルの最奥。22時~4時まではゲート封鎖。ターミナル施設の開設は5時から。いたるところに関係者以外立ち入り禁止の看板があり、なんとなく後ろめたい気持ちになる。大型トラックの群れをぬってフェリーターミナル駐車場の最奥まで進むと、寂れた波止場感満載の突端にたどり着く。一応条件はクリア、日の出方向も問題ない。抜け感も抜群だが気分が盛り上がるかといえば微妙。そして日の出タイムに居れるのかが不明。ここ、入って良い場所ですか?

【下見6. 暁ふ頭公園(再訪)】

難しさを痛感し、暁ふ頭公園を再訪。いろいろ見てわかった、選ばれるにはわけがある。シチュエーションはあまり良くないと思っていたが、いろいろと条件は良いのだ。トイレや自販機もある、30台くらいは裕に入り込めるスペース、参加者が集まるということは情報交換も出来て気分も盛り上がる、そしてスタート後の首都高へのアクセスも良い。

 

おのずと答えは出てしまいそうだ。
実際に行ってみてはじめてわかったこともある。そういった意味では収穫だ。

 

 

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