チキチキで焼き付いたDTのクラッチをオーバーホールする。
まずギアオイルを抜いてみると、黒い削りカスのようなごみがいくらか混じっているのが分かる。のっけから嫌な感じだ。邪魔なキックペダルとリアブレーキを外してから、オイルポンプのカバー、クラッチ側のケースカバーをプラハンでこんこん叩いて外す。AMラジオのスイッチを入れる。
ぱっと見そんなにひどい状態には見えない。
スプリングとプレッシャープレートを外し、クラッチ一式を引き抜くと、ボロボロと黒いゴミがこぼれ落ちる。なんですかね、これは。
一枚ずつバラしてみると、これはどうやらクッションリングの残骸。原型をとどめているものもあるが、フリクションプレートに固着してるうえにグズグズに崩れているものもある。
正直この状態が焼き付きステージいくつなのかわからないが、正常でないのは明らか。熱で張りついてさらに砕けたのだろうか。
バスケット内側にも削れたカスがびっちり付着。
フリクションプレートの使用限界は2.7mmだが、見るからに平坦なものもあって計るまでもない。これがすべて、マディ150分耐久の爪痕だとしたら(そうだと思うけど)、恐るべしモトビの粘土。全部バラして洗浄する。
AMラジオは久米宏の「ラジオなんですけど」。
僕も紛れもなくこれはラジオだと信じて聴いている。
ついでに以前からオイル滲みしていた、ギアシャフトのオイルシールも交換する。これで床へのお漏らしが止まれば良いけど。
興が乗ってきたのだが作業はここまで。部品がまだ届いてないのだ。揃うまでこのまま待機。
▽
雨が降りそうだな、と思いながらガレージのシャッターを開けたら、すでにポツポツと降り始めていて、一瞬考えて出しかけたセローをまた仕舞う。
ラジオの気象情報では、雨足はこれからさらに強まるという。特に大事な用があったわけでもないが、一日家に居てAMラジオをかけながら、バイクをいじったりしていたものだから、少し外の空気を吸おうとセローを出したのだ。つまりは出鼻をくじかれたということだ。
仕方なく傘をさして近所の商店街を歩く。どちらにせよ夕食の買い物が必要だ。
昨夜飲み屋で食べた茗荷の天ぷらはやたら旨かったなと、雨の中思いながら歩く。雨は夜半まで降り続いた。