きっかけは『獺祭 島耕作』だった。

「この日本酒を開けるんで、一緒に行きませんか」と彼が誘ってくれて、僕たち二人のキャンプツーリングは決まった。この歳になると、新しい友人を作ることは少しばかりのエネルギーを必要とする。だけど社交的な彼はうまく場を作ってくれて、僕たちは日本酒とバイクと旅という共通項ですぐに意気投合した。新しい友人との関わりは、やっぱり新しい世界を開く。

 

台風25号が上陸しようかという週末、宮ヶ瀬湖の駐車場でnmindさんと9時半に待ち合わせた。行き先は道志の森キャンプ場。渓流釣りに道志川へは何度も通っていたけれど、キャンプをするのは1年半ぶりのことだった。誰かと一緒に走るのも久しぶり。
前日にパッキングを済ませて、あまり寝つけない夜を過ごし、朝は6時前に出発した。通い慣れた甲州街道をのんびりと走った。

待ち合わせの鳥居原園地駐車場に着いたのは、午前8時15分。
いくらなんでも早すぎる。遠足いく子供か。

でも天気は良くて景色も良いし、バイク乗りもたくさんいたし、ぶらぶら散歩したりベンチでうたた寝したりしてゆるゆると彼の到着を待った。

海老名で雨に降られて待機してると彼から連絡が来て、慌てずにゆっくり来てくださいと返信してもうひと寝入りした。

9時半ぴったりにnmindさん到着。白いスラクストンはシンプルで綺麗なオートバイだった。彼の選ぶギアはどれもこれも一級品で、パッキングも綺麗にまとまっている。

Pack Animalのサドルバッグは本日のシェイクダウン。これぞジェントルマンスタイルで一部の犂もないのだが、かたや僕の方はといえば、いつも通りの泥臭い雑多スタイルである。

じゃあ行きましょう！と休憩もそこそこに、道志の森へ向けて走り出す。

道志みちは台風の影響か、通行止めになって迂回を余儀なくされて、くねくねと県道を抜けた。

また道志みちに合流して、道志の森キャンプ場に着く。

表情読めず（笑）。

三連休だからある程度覚悟はしていたが、午前中にもかかわらずすでに沢山のテントがひしめき合っていた。

ぬかるんで荒れた路面を上り、サイトの空きスペースを探した。川沿いの一等地にわずかばかりの空間を見つけ、隣の若いご夫婦に交渉。

奥様は一瞬断る素振りを見せたが、旦那さんの方が「このあと車が一台入るスペースがあれば構いません」と了承してくれた。ありがたい。
僕らはバイクですしそれほど場所は取りませんと、テント2棟と小型のタープを張らせてもらった。すっぽりと空間に収まった僕らのベースは最高に居心地の良い場所となった。

タープはnmindさん持参のもので、夜は小雨がしとしと降ったので大助かり。こういう時はやっぱ良いなタープ。

ほとんど一人で張らせちゃってゴメンナサイ。汗だくになっちゃったnmindさん、川で顔洗う。

道志川、今年は思うように釣りできなかったな。もう禁漁なのでまた来年仕切り直し。

設営が済んだらバイクに乗って、小作のほうとうを食べに。何年ぶりだろうか。
到着すると店の外までごった返しており、これは駄目かと諦めかけたけど、意外と回転が早くてあまり待たずに通された。

僕は豚肉ほうとう

nmindさんは辛口カルビほうとう。
一口ずつスープを飲み比べたりして仲良し（笑）。どっちも旨い！

ほうとうって昔より旨くなってない？僕の味覚が変わったんだろうか。残さず食べて腹いっぱい。

それからスーパーへ行って買い出し。
名古屋おでん、鰹のタタキ、鯵のなめろう、北海道産牛ヒレ肉、そしてビール2本。酒が少ないのは持参品がすでに多いから。

nmindさんは日本酒「獺祭 島耕作」と「ザ・バルヴェニー15年シェリーカスク シングルバレル」という聞いたこともないヤバくて旨い茶色いやつ。僕は秋田の「まんさくの花 ひやおろし」と「ジャックダニエル」を瓶に詰めて持ってきた。サイトに戻って早々に宴スタート！

ツマミにも酒にも事欠かなかった。「獺祭 島耕作」は期待どおりの旨さだったし、「まんさくの花」もキリッと辛口で申し分なかった。

おでんや刺し身をつまみながら日本酒をやって、日本酒がなくなると肉を焼いてウイスキーを飲んだ。nmindさんのシングルバレルは香りも素晴らしくて、ストレートでちびちび舐めながら語り合うのに最高の酒だった。

焚き火台は本日初投入となった僕のピコグリル398。nmindさんも同じものを使っているんだけど、火入れを優先して僕のだけ使用。

僕たちはとりとめもなく話をした。オートバイのこととか、旅の妄想話とか、心に持つ悪だくみとか、今思ってることとか、少しだけ家族のこととか、ほんの少しだけ仕事のこととか。

さして重要な内容ではないけれど、そんな他愛もない話が楽しかった。

あらかた酒も無くなって、メスティンで炊いたサンマご飯で〆てテントにもぐった。

 

翌朝は7時に起床。洗い物をして川の水で湯を沸かし、コーヒーを飲んでからゆっくりと片付けた。

パッキングを済ませて、2台それぞれにゴミをくくりつけて帰路へ。
途中で別れて彼は東名、僕は国道20号へ。

楽しかったなあ。
nmindさん、誘ってくれてありがとうございました。また行きましょうね！