週末のこと

夜半から降り出した雨は、朝になっても止まなかった。関東はそのまま梅雨入り。これで春の空気も終わりだと思うと、少し名残惜しい。梅雨入り前にもう少し走っておきたかったな。樋を叩く激しい雨音を聞いて諦めもついた。WRの整備をすることにした日曜日。

整備メモを見ると、最後のオイル交換から1,300kmも走っていた。WRがいくらラフなレーサーだからといって、少し走り過ぎた。オイルをMOTUL 300Vから7100に変えてみたのだが、こっちの方がライフが長いように思う。300Vのようにギアが急激に渋くなることもなかったから、走り続けてしまった。

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少し暖機してからオイルを抜く。AMラジオのスイッチを入れる。
ラジオからは「安住紳一郎の日曜天国」。生姜焼き研究家のジンジャーさんとの掛け合いを聞きながら、オイルが落ち切るのをじっと待つ。

最後に生姜焼きを食べたのはいつだったか。豚の生姜焼きを頼んだのに、たまに生姜タレを絡めた豚野菜炒めが出てくると、とても残念に思う。生姜焼きはやはり、薄切りにしたロース肉を4〜5枚、キャベツの千切りに横たえるのが好ましい。ポテトサラダが添えられていれば、なお完璧である。肉の旨味がキャベツに滲みて、マヨネーズと合わさった時の幸福感ったらない。肉とキャベツと、炊きたてめしのアンサンブル。口の中に広がる小宇宙。ああ、生姜焼きが無性に食べたい。

フィルターも変えてオイル交換完了。生姜焼きを食べに行きたいが、まだ終われない。

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タイヤが前後ともツルツルなのだ。見て見ぬフリしてきたが、それだって限度がある。新しいタイヤは仕入れてあったから交換する。フロントBS M403、リアIRC BATTLE RALLY BR99。新しいと書いたけど、フロントは未使用在庫品。リアは8部山の中古。どちらも格安で購入。チューブは再利用。貧乏根性に火がついた。

まずフロントから交換。
タイヤ交換のコツは、タイヤレバーの使い方が一番の肝だと僕は思う。ワックスをばっちり塗る、反対側のビードを足で踏んづけてしっかり落とす、そして2本のレバーを手前から、倒し角を変えて「ゴムを緩やかに曲げて送り出す」ようにバチンとはめてやる。こうすれば、絶対入らないように思える最後の部分を楽に入れることができる。でかいタイヤをやろうとは僕も思わないけど、オフ車乗りのアナタは挑戦した方が良い。僕だってできるようになったんだから、きっとできる。タイヤ交換が店任せじゃなくなると、すごく自由になるんだ。

偉そうに書いたけど、リアタイヤは最後のひと捻りでパンクさせた。シューという空しい音と共に、全身の力も抜ける。こうなったらまたタイヤを外すところからだから、ダメージも相当なものだ。もう本当に腕や足も痛くなってきて、愚痴のひとつも吐きたくなるけど、ひと呼吸入れてもう一度向き合う。レバーでチューブに穴開けるなんてよくやる失敗だし、失敗の分だけ身に付くと僕は思うようにしてる。

穴の開いたチューブを引っぱり出して、パンクの箇所を探る。たいがいレバーでこじった穴なんてでかいもんだから、すぐ見つかる。こんなでかいの塞がるのかなんて不安になるけど、意外と大丈夫なもんである。表面をヤスリで荒らして糊を塗る。乾燥させたらパッチを貼る。昔やった自転車となんら変わりない。

もう一度たっぷりワックスを塗ってはめていく。最後の砦に差しかかったら、焦りは禁物。ここで失敗したらまた元の木阿弥。しっかりと対角線のビードを押し込んで、2本のレバーを使ってテコの原理でぐりっといく。

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さっきのが嘘みたいにスムーズにはまる。この時の達成感はジョッキかかげて
「乾杯!ほら、お前ももっと飲めよ!」みたいな気分である。

 

ひととおり整備を終えて、軽くエンジンをかける。いつしか雨はあがって晴れ間も覗いた。
奥様からメールが来て、ここに居るからとお呼びがかかる。添付のURLを開くと、小洒落たカフェだ。生姜焼き定食はありそうにない。僕は自転車にまたがって、奥様の待つカフェへと急ぐ。

 

カテゴリー: WR

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