VMX探しの旅

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10年前の僕たちは、オフロードバイクに夢中だった。

それまでロードバイクしか乗ってこなかった僕は、玉砂利とサンドの河川敷を初めて走った時、ことごとく打ちのめされた。「全然乗れない。」
それからはオフ車を買って、週末のたびに練習した。仕事に行く前に練習した。多摩川や相模川の河川敷へ通い、草レースにも出た。どこを目指してたわけでもない。走ることが楽しくて仕方がなかった。今思えば、呆れるほどの熱心さだった。

その熱もいくらか冷めて、WRはもはやツーリングや林道にしか使わないけれど、それでもやっぱりオフロードバイクは楽しい。初期型のセローを手に入れてから、VMX(ビンテージモトクロス)にも興味がわいた。10年前にだって70~80年代の車両とレトロなジャージを着て、キレた走りをする「そっち側」の人はいたが、今ほどVMXというジャンルは確立されておらず、どちらかと言えばエキセントリックな存在だったように思う。

先日、奥様とチキチキビンテージエンデューロを観に行って、再び火がついた。
それで、うちのガレージはもう充分手狭なのだが、手頃なミニモトを探す旅に出ている。レギュレーション上、85年式のセローでも出られなくはないが、どうしたってレースで使えば傷む。それも忍びない。

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VMXにどんな車両が使われるのかまったく無知なのだけれど、先日、45年前とは思えないグッドコンディションのYAMAHA HT90に試乗した。1971年製、自分とほぼ同年代。奥さんと僕と交互に乗って、小気味良い2ストサウンドを楽しんだ。オリジナル度が高く大きな不具合もない。値段も頑張れば手が届く範囲だったが、家族会議の結果、今回は見送ることにした。

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まず綺麗すぎた。こんな貴重な車両をぶん投げて使うのは、さすがに気が引ける。足として買うなら良いが、僕たちの用途には過ぎた車両だった。もっとガサツで良いんだ。これは他に乗るべき人がいるはず。それに、メインはあくまで奥さんが乗ることだから、彼女の御眼鏡にかなわないと購入には至らない。良い車両なのだが、今ひとつ背中を押すものが無かった。

パワー感も少し物足りなかったように思う。トレールなら、2スト125ccくらいでも良いかもしれないな。そのうち嫁さんと猿が島、なんて考えると不思議でならない。まだまだ車両探しの旅は続きそうなのです。

 

 

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