コーヒーのはなし 〜ツーリングの朝

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コーヒーは毎朝、ポットに5杯分ほどをネルドリップで淹れる。日常的に飲むコーヒーは、美味すぎない程度の気取らない豆である。毎日飲むコーヒーが、ジャコウネコの糞から救い出したような肩の力が入ったものであれば疲れてしまう。コストパフォーマンスもどうしたって無視できない。値段もそれなりで普通に美味い豆、これを見つけるのはなかなか簡単ではないのだが、今のところビタールの「イーストティモール」という豆を好んで飲んでいる。これなんかは100g200円少々とかなり安い。でもその場で挽いてくれるので鮮度も良いし、味も普通に美味い。

 

保温ポットにカリタのドリッパー(陶器製)を乗せ、フィルターは紙ではなく布を使う。ドリップ用に出回ってるネルではなくて、さらしの木綿生地を使っている。こだわりでも何でもなく、たまたま家にあったものを奥さんが丸く切った。ペーパーは使わないという以外は、案外適当だな。正直なところネルドリップは片付けが面倒なのだが、サイフォンに比べれば楽だし、ペーパーで淹れたものとは味が違うのでここは妥協できない点。日常的に飲むコーヒーは、どこで折り合いをつけるかがとても大事である。

 

豆をスプーン5杯入れ、少しだけ湯を注いでしばらく蒸らしたら、あとは適当にちょぼちょぼ入れる。ふうわりと豆がドーム状に膨らみ、幸せが満ちる時である。2回ほどドームが落ちたところで味の大部分が決まるらしいので、あとは濃さを調節するために湯を落とす。湯が完全に落ちきると雑味が混ざるので、切らさないよう注意して足していく。

 

焼き物の街を訪れて、気に入って買ったマグカップを用意する。ここもあまり妥協したくない点。我々はどうでも良いことにはこだわるくせに、コーヒーカップをないがしろにしがちだ。気に入った素焼きのカップに漆黒の液体を満たすと、風のない湖面を眺めるようである。湯気の立つシズル感いっぱいの液体を、カッと口内に送り込む。苦味と香りが舌から鼻に抜ける。いろいろ書いたがやはり熱いコーヒーが一番だ。

 

まだポットにたっぷり残ったコーヒーを、TERMOSのマグに入れてツーリングに持っていく。途中のコンビニ休憩で、大人のくせにドーナツを1個だけ買い、甘くなった口にさらしドリップを流し込んでいる。

 

 

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