イッツマイプレシャス

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健康診断の結果が返ってくる。
昨年とそう大きな違いはないのだが、いくつかの変化も見られる。悪玉コレステロールが勢力を伸ばし、体重も増加傾向、軽い萎縮性胃炎の症状も見られた。ようするに、ゆるやかな健康後退局面にある。あるいは、立派な中年に差しかかりつつあるということだろう。

人は幸せを腸で感じると聞いたことがある。ならば胃が萎縮する状態とはどのような意味を持つのか。本人は自覚などなく至って暢気なものなのだが、ちょっと景色の良いところで息抜きでもしてみるかと思った。

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3月になってもなかなか暖かくならないが、関東近郊の渓流は解禁となった。この寒さではお魚さんも岩陰に隠れてじっと動かないに違いない。気の早いアングラー達の釣果もなかなか厳しいものであるようだけど、4時半に起きてセローで道志川へ向かった。

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道中はとにかく寒くて、新宿で一枚着て、調布でもう一枚着て、八王子で靴下を重ね履きした。持ってた衣類を全部身につけて、ガタガタ震えながらの道志入り。車ならぬくぬくと前泊して朝マズメのベストタイムに第一投を放り込めるのだろうが、僕は旅するバイク。別に羨ましくなんかないやい。

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着いた時は足が冷え切って、すでに温泉に行きたい。温泉どころかこれから川に入るのかと思うと我ながら可笑しくなる。

両国橋キャンプ場の湯川屋に寄って年券を購入。その場でおばちゃんにカメラを向けられて、写真入りの遊魚券ゲット。道志川、今季もホームリバーに決定です。よろしくお願いします。
どの辺りが良いかおばちゃんに聞いてみる。

「えさ?」
「毛鉤」
「上流だね」

禅問答のようなやり取りの後、再びセローにまたがり上流へ向けて出発。
徐々に気温も上がってきてやる気もV字回復。まずは朝日屋前から様子を見ようと進入したら、先行者の車が一台。おじさんが一人、たたずんでいた。

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「これから入ります?」
「いや、全然だめで嫌になってやめたとこ」
「あーそうなんですか、厳しいですかねぇ」
「全然だね、全然。上の方も見たけど誰も釣れてないよ」

俺はもう本当にうんざりなんだという顔をする。面白いもんだね。

「何時からです?」
「7時頃からだから、ぼちぼち2時間かな」

2時間であの顔ができるなら、普段よほど釣る人なのだろう。丸一日釣れない僕の穏やさを見せてあげたい。

「少しやってみるかな」
「好きなだけどーぞどーぞ。テンカラじゃ厳しかったね」

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こちらもテンカラだけど案ずることはない。僕は胃を拡張しにやってきたのだ。
ウェーダー履いてリバートレック開始、第一投を静かに投じる。

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水量は乏しい。生命反応が感じられない川に向かって、次々と毛鉤を打ち込む。まるで気配がない、川底でじっと動かないのかそもそも魚など居ないのか。毛鉤だけがゆらゆらと揺れていく。

朝日屋から1kmほど釣りあがったところで退渓。アタリひとつない。それでも、やっぱり渓流釣りは楽しい。

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午後からは場所を変えて、椿キャンプ場へ。

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キャンプ場の東屋で昼食にチリトマト。
風は強いが気温は上がって、朝の寒さはもうなかった。管理人のおじさんが通り過ぎて、しばらくお喋り。陽気も良いし平和だ、釣れなくても別にいい。

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とか言いながらも、トップウォーターじゃだめかもとルアーロッドに持ち替える。
なかなか人生の達人にはなれんな。

 

しばらくミノーをトゥイッチするも、魚の影など微塵も見えず。またテンカラを振ってもかすりもせず、解禁は実に厳しい幕開けに。陽が傾きかけて、寒さがぶり返して来る前に納竿とし、道志みちをぶっ飛ばして帰った。

僕の胃がどのような変化をもたらしたのかが気になるところだ。

 

 

 

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