地下宮殿とシジミらーめん ~宇都宮周遊コース

ビールと餃子はなぜあれほどまでに揺るぎなく合うんだろうかと、週末を迎える夜に飲みながら考えていた。暇な時はおおむねこんな事を考えていると思っていただいて差し支えない。
餃子といえば宇都宮、というのも安易だけど、では、亀戸や浅草に食べに行くかといえば、それもちょっとイベント性に欠ける。宇都宮までは東北道に乗れば約100km。冬のツーリングとしては悪くない距離。それで、週末は宇都宮まで走りに行くことにした。

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染め直した革ジャンを着て、朝7時半に自宅を出発。
空気はギリギリと張りつめた弦のように冷たい。R122号を北上し、浦和ICから久しぶりの東北道に乗る。いくらも走らないうちに指先が痺れてきて、足下もすっかり冷えた。下はアイアンハートの21ozデニム。中にヒートテック。ちょっとナメてたな。左手をエンジンに押し当てて片手運行。久しぶりに寒すぎる。本格的な冬が来た。

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我慢できなくなって羽生PAへ避難。

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暖房の効いた室内で、七味を効かせた豚汁定食。細胞の隅々に温かさが染みわたる。日本人で良かったと思う瞬間である。
気温も徐々に上がってきて、体温も気分も俄然上がってくる。一気に宇都宮ICまで北上する。

 

せっかくなので観光めいたこともしたいと思い、大谷資料館へ向かった。宇都宮と聞いてすぐ思い出したのが「大谷石」である。大谷石は宇都宮市大谷町で採掘される軽石凝灰岩で、古くから建材として使われてきた。かつての採掘現場が今では、資料館となって公開されている。その様相はまるで、パルテノン神殿か地下宮殿の如く壮大で、いつか見に行きたいと思っていた。

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10時30分に到着した時点で、すでにかなりの人出。駐車場の車はもう溢れんばかりである。人気あるんだ。バイクを停めて館内に入り、800円払っていざ地下空間へ。

細い階段を降りていくと、ひんやりと寒い。やがてぱっかーんと開けた大空間が目の前に広がる。むっはー!これは。月並みだけどインディージョーンズですわ。

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「デジタル掛け軸」と銘打って、プロジェクションマッピングを投影させてるのがアイデア。古いと新しいの融合だな。

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幻想的な空間で良かったけど、こちらは別料金でさらに500円。
遠目でもそこはかとなく楽しめる。

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地上に舞い戻ってきて100円の甘酒。柚子入り。
おじいちゃんとお婆ちゃんが仲良く行商している。100円で儲けが出るのか少し心配。じんと温まっていよいよ昼飯を食いにいく。

 

宇都宮餃子の有名店といえば「みんみん」や「正嗣」といったところがあるけれど、調べているうちに検索の扉はいつの間にかラーメン屋の門戸をたたいていた。宇都宮は餃子の街であるとともに、ラーメンも有名らしい。餃子が発展すればラーメンも後を追うのは、至極当然のことかもしれない。僕の心は、いつしかラーメンへと向かっていた。

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目にとまったのが「らあめん厨房 どる屋」の「限定15食ぐらい 黄金の大和蜆らーめん」
黄金色に透き通ったスープがうまそう。もうね、こういうので良いんですよ。5日間の限定ラーメンで、青森県小川原湖産の大和シジミを使って出汁を取るという。これを食いに走る。

 

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細い路地の中ほどに、らあめん厨房どる屋はあった。店前にワイドグライドを横付けしていると、店主が扉から顔を出す。

「おひとり?」
「はい、ひとり」

すぐに引っ込んで「はい、次おひとりさまねー」と声をかける。
店内はかなり賑わっているようである。

「カウンターどうぞー」

1席だけ空いていたカウンターに通されて、水をひと口含みメニューを見る。ラーメンwalkerを握りしめた若者3人組が続いて入ってくる。再びメニューに目を落とす。心は決まっている。

「大和蜆らーめん、まだあります?」
「ええ、ありますよ」
「じゃあ、それで」
「はいシジミね~」

奥様と思しき女性が店主に声をかける。あいよ、と短く店主がこたえる。奥様が済んだ丼をさげる。店主があたらしい器を出して、タンタンタンと小気味よくネギを切る。カップル客がお互いのラーメンを分け合って感想を言い合う。それらの声と音とが溶け合って、店内に不思議な協奏曲が流れているようだった。

「胡椒どうぞ。最初はかけずに食べてもらいたいんだけど、あとで2回ほど回してね」

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解説書つきの胡椒がテーブルに置かれる。そして着丼。

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まずは黄金色に輝くスープをレンゲにすくう。
鼻にフワッと抜ける磯の香り。ずずずと口に含むと、間違いなくシジミ出汁である。お上品。これはもはや和食ですな。麺は固めに茹でたストレート麺。箸で持ち上げていっきにすすり込む。またシジミが追いかけてくる。3種類のったチャーシューは、反してしっかり主張してくるのだが、シジミ出汁と合っているのかは良くわからない。

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件の胡椒を言われたように、2回しする。その後さらに2回転。
挽きたて胡椒の良い香りがシジミを引き立てる。

旨い。確かに旨いのだが、冬ライダーのオクタン価の高いガソリンとしては、いささか上品すぎたかもしれないな。

ごちそうさまと言って店を出る。いろいろ書いたがスープまで飲み干した。
やっぱり餃子も恋しくなって「正嗣」へ行ってお土産餃子(冷凍)を4人前購入。
寒いので帰りは下道で帰った。

 

 

 

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