主役も張れる名バイプレイヤー

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新年の初走りは、セローを出して都内を散歩。
予定というほどの予定があるわけではないけれど、この寒気の中、少し乗ってもいいかなと思える相棒がこのセローである。履き古したスニーカーをつっかけて、近所を散歩するように。

少し暖機してからクラッチをつなぐ。セローの小さなシングルエンジンから、小気味良い振動が伝わってくる。大して手をかけてやれないだめな僕。いつも調子よく走ってくれるけど、いつか反旗を翻してストを起こしたとしても、それはきっと僕が悪い。エンジンから若干のオイル滲みがあって床にシミをつくることも、まあまあと互いに目をつぶってやり過ごしている。

全身をおろし金で擦られているような寒気の中、都内の幹線道路をトコトコと走らせる。信号待ちのたびにエンジンに手をかざせば、空冷エンジンが気休め程度にアンカの役目を果たしてくれる。

セローは良くできたオートバイではあるが、それは「普通であることの良さ」であって、なんら特別感はない。それが良い。決して速くはない、かといって不満を感じることもない。味わいのあるエンジンかと言われればそれも違う。まるで肩に力の入らないオートバイである。ヤマハの技術者がこのセローに一番力こぶを込めたところがあるとすれば、それは「普通に良いオートバイを作るにはどうすればよいか」という点ではないか。

気がつけばわが家には5台のバイクがある。それぞれに違うしどっちがどうだと比べるものでもない。セローはセロー、ハーレーはハーレーである。だけど、誤解を恐れず少し乱暴に言ってしまえば、セローがあれば全てケリがつくのではないかと思う。

本当にいいオートバイというのは、パワーはあるけど足が貧弱とか、鼓動感はいいけどシャシーがだめとか、ひとつひとつの要素を取り上げて評価をくだせるようなものではなく、むしろ、ひとつひとつの要素を取り出せているうちはまだまだ本当の良さなどではない、そんなことはどうでもいいことなのだと思わせるものが、たぶんいいオートバイなのだろうなと思う。
知ったような口ぶりで書いてはいるが、全部、僕の想像なんだよ。

すっかり冷えた身体に喜多方らーめんを流し込んで、とっとと帰った。

 

 

 

カテゴリー: 1KH

1件のコメント

  1. オフ車の懐の深さ、本当によくわかります。TTRの時も毎回『これだけで良いのかも・・』と思っておりました。春に子供らが落ち着くまで静かにしてますが、まだ諦めてませんw

    • okuちゃん

      そうなんですよね。
      しかもセロー225はオフ車のようでもあり、シティバイクであったりもして、それって結局中途半端じゃんって話なんですが、不思議とそうならない。
      なんか良くわからん魅力があります。懐の深さ、ですかねえ。

      オフ車復活待ってますよー。
      コメントありがとうございます。

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