BMWを優等生ぶった鼻持ちならないメーカーだと穿った目で見ていた僕には、その本音はさておきひねくれた気持ちがあったことは確かだ。
ビーマーという響きも鼻についたし、何かにつけ世の中にツバを吐いていたような頃。平たく言えばアメリカのパープリンな能天気さに若い頃は惹かれた。わかりやすかったんだろうね。当時スタージスの様子を写した一冊の本に心を奪われ、ハーレーダビッドソンとそれを取り囲む人々の笑顔に夢中になった。ハーレーというオートバイを選ぶことにこれっぽっちの迷いもなかった。

時が経ち、BMWがとんでもなく良くできたオートバイであるらしいことは、巷の評判を聞いても明らかだった。その印象を決定づけたのはRnineT Scramblerに1日乗る機会があって、すごく楽しいと感じたことだ。BMWは「楽である」というイメージが勝手に先行していたのだけれど、むしろ乗っていて楽しかった。
GSシリーズは2バルブOHVボクサーも含めて、「無視できない、いやむしろ気になる存在」に僕の中で育っていった。

FXDWGというハーレーを17年乗って、今でも「やっぱり楽しいバイクだな」と思う。乗るたびに毎回感動できる。でも40代も半ばを過ぎて、僕のライフステージも随分変わってきた。もう少し身の周りをミニマムにしたいと思うようになり、大型バイクとの付き合い方も「より遠くへ行きたい」と考えるようになった。何より、世の中に数多ある他のバイクにも乗ってみたい。

ここまで長々書いてきて申し訳ないけれど、買い換えたわけではありません。なので、この先も劇的な展開や貴方のタメになるお話など、微塵もありません。

今後良い出会いがあれば、次の一台としてR1200GSも最右翼。それで、無知なGSシリーズについて少し調べてみた。はなから中古しか考えてないので、ラインナップや仕様を鑑みてこれぞというモデルを絞り込む。

・2008〜2009年式　R1200GS（GSAではない）プレミアムライン
・カラー：白、黒、シルバーのモノトーン系。でも贅沢言わない
・距離：30,000km程度
・フルパニア付き
・程度：良好
（写真は2009年のみのスペシャルエディション）

これがFXDWGとWR250Fの2台を放出することで、持ち出しが限りなくゼロに近づくならかなり揺らぐ。

この年式の1200GSは、俗に中期型と呼ばれ、SOHC空冷モデルの熟成しきったところで値ごろ感もある。日本ではたかが20,000kmを越えた程度で「過走行車」のレッテルが貼られるので、シャキッとした個体でも100万円を切るものがかなりある。翌年の’10年モデルからDOHC空冷になり、さらに’13年以降は水冷LCエンジンへとモデルチェンジする。
最新ももちろん良いけれど、調べるとSOHCの乗り味が僕には向いているんじゃないかと思う。SSのように急かなくて良いし、そこまで至れり尽くせりでなくて良い。むしろ、多少乗り手が関与できる余地が残されているぐらいが良い。

ADVじゃなくて素モデルの方が良くて、GSに限らず、今はスタンダードモデルに魅力を感じている。特別仕様車じゃなくて、カブやカローラの持つベーシックであることの強みが今の僕には魅力的に映る。そもそも30Lのガソリンタンクは僕にとってトゥーマッチ。これまで10Lで特に不都合なかったし、20Lもあれば必要にして十分である。
でもプレミアムラインが良いなあ。せっかくGSを選ぶなら、電子制御サスペンション（ESA）やトラコン（ASC）を味わってみたい。

この1200GSと’85年のセロー225があれば、ほとんど「ケリがつく」んじゃないかと思う。少し古いハーレーの鼓動が味わいたくなれば、奥様の4速スポーツを借りれば良い。
実際にはVMXにハマり中で、コース練習に行くならDTもWRも持っていきたいしで、まるでケリはついてないんだけど。

とりあえず、レンタルでもして1日乗り倒してみたいけど、古い年式は無さそうなのが残念。