左手のリハビリをかねて

先週のこと。

左手のリハビリがてらキャンプツーリングに行こうとして、ろくに天気予報を見ないで出かけたら、東京以外は全国的に大雨で途方に暮れる。

結局、碓氷軽井沢までの往復300km、ずぶ濡れになってSAのうどんを食っただけの旅となった。やることなすこと裏目に出るということが年に1、2回はある。それが先週。

 

 

三連休であった今週も、どこか不安定な空模様。
それでもちょっと出かけたくて、ワイドグライドを出す。予報では夕方から下り坂なのでさくっと日帰りツーリング。

ところで僕は、定食屋に行くとかなりの確率でアジフライ定食を頼んでしまうアジフライヤーなのだけれど、アジフライについての熱い想いはまた別の機会に書くとして、つまりはちょっと出かけるなら、アジフライを食べに行こうと思った。それも、とびきり旨いやつを。

またしても『孤独のグルメ』(扶桑社文庫)を持ち出してなんだけど、千葉県いすみ市の「源氏食堂」、静岡県河津の「わさび園 かどや」に次いで、三度の井之頭五郎を訪ねる旅へ。
千葉県富津市金谷の「はまべ」に黄金鯵のアジフライを食べに行く。

孤独のグルメで登場した店はもれなく行列ができる。はまべも例外ではない。僕は食事をするために並ぶということが、まったく好きではないしそんな事するなら他の店に行くタイプの人間だけど、知れば知るほど「はまべ」のアジフライは旨そうなのであった。アジフライ好きを自称するなら並んでも食べたい。

川崎からアクアラインに乗り込んで木更津へ。
三連休なので渋滞するかと思ったが、それほどでもなかった。そこから南下して金谷漁港へ。

12時開店で店に着いたのは11時。1時間前だってのにもう二家族が並んでいる。ひいふうみい、僕は6人目。

幸い日陰もあったし海風も気持ちがいいし、それほど苦もなく1時間を並びきる。僕の後ろにも瞬く間に15人ほどの列が伸びた。

 

12時ちょうどに開店。

店はお世辞にも広いとは言えない。8席のカウンターしかない。と思ったら、奥に座敷があった。

端から順に注文を受ける。実質「はまべ定食」か「地魚(アジ)フライ定食」の二択である。他にもあるけど、ここで焼肉定食を頼むのは地元の人くらいではないか。はまべ定食はアジフライに加えて、刺身の三種盛りが付く。純粋にアジフライを楽しみたい僕は地魚定食をオーダー。

まず小鉢が3品運ばれてくる。漬物、ひじき煮、ゴーヤ。ひじきは妹さんが目の前の海で取ったもの。

おかみさんがフライを揚げ始める。ジューっといういい音が店内に響く。刺身にすっすっと切れ目を入れて美しく器に盛る。「はい、はまべの刺身ね」そういってカウンター越しから出された刺し盛りを見て、少し心が揺れる。実に新鮮で旨そう。

こ、こっちだったか。いや待て、慌てるな。俺はアジフライを食いにきたんだ。それだけに集中しろ。もはや五郎の言葉か自分の言葉かわからぬ。

「はーい、アジフライね。お待ちどうさま」
同じタイミングでご飯も出てくる。
「一杯はおかわり無料ですから」

大ぶりではあるが、それほど巨大ということはない。むしろ程よく食べ応えのあるサイズである。タレはソース、醤油、タルタル。

まずはレモンを絞り、ソースとカラシをつけてガブッとかじる。「ふおー」

衣はサクッと、身はふんわりと解れる。そして肉厚。ぱっと見ではわからないんだけど、この肉厚感はちょっとすごい。金谷で取れるアジは「黄金鯵」というブランド鯵で、回遊せずに根に付くので魚体が大きくうま味や脂のノリも良いとのこと。タルタルをたっぷりつけて頬張る。次いで醤油で。「あー、醤油しみじみ旨いわー」。

一口目、二口目、三口目。気がつけば夢中になってフライを口に運んでいる。白米がそれを追いかける。漬物を挟んでまたフライを頬張る。すみませんご飯お代わりで。幸せの連鎖。味噌汁はカジメ汁を期待したんだけど、今日はアラ汁。でもこれも繊細で旨い。

一気に食べ終える。ごちそうさま。と言って店を出る。

店を出た後も行列は続く。並んでも食べるべきアジフライがここにあった。

満足して海を見る。

ありがとう母なる海よ。

帰りは細い県道を選んで、ぐねぐねといい気分で家路に向かった。左手は一日乗るとまだ少し痛みが残る。

帰宅した1時間後に土砂降りの雨が降った。

 

 

 

 

1件のコメント

  1. あのトライアンフ部隊の白と緑のスラクストンはもしかするとthrux-2さんご夫婦のバイクかもしれませんね。なんかこういうのを見ると世の中狭いと感じますね。
    それより、アジフライ美味しそうですね!まるでバイク版孤独のグルメですね。普段そんなにアジフライが好きというのはないですが、この記事を読んだら無性に食べたくなりました!たまらないですね。
    今週週末の予定はいかがですか?もし大丈夫でしたらまた孤独のグルメライディングやりましょ^^

    • nmindさん

      コメントありがとうございます。
      土砂降りの中どこかのPAに逃げたら、ずらっとトライアンフの方々が集まってたんですよね。きっと何かのイベントがあったんでしょうか。「お知り合いかも?」と思ったこともあり、ちょっと撮らせてもらいました^^

      週末のお誘いありがとうございます!
      是非に、と言いたいところなんですが、今週末は仕事がらみでとある資格試験を受けねばならなくて。日曜日というのに・・・うう、ちょっと追い込まれてます(笑)。
      ごめんなさい、キャンプを楽しみにしますね!

      • そうだったんですね!それは仕方ありませんね。資格試験頑張ってください。一発合格を祈ります!
        今週末は一人で孤独のグルメライディングやって報告いたします^^

        • nmindさん

          ありがとうございます。頑張ります!
          おお、まさに孤独のライディングに行かれると(笑)。どこに行くんでしょう、楽しみにしてます^^

  2. ご無沙汰してます。RYOです。
    まずは、左手の順調な回復。何よりです。
    さて、私も8月の終わりに、夏旅の北海道へ。
    ご多分に漏れず、天候不順で、寒い大地でした。(今夏は、キャンプ場泣かせと和琴のオヤジが、ボヤイテいました)
    大きなトラブルもなく、無事帰宅できただけで御の字です。
    特筆は、10万㎞達成とカニの家の語らいでしょうか。
    私は、キャンプ派ですが、どうにも雨続きでやむなく逃げ込みました。
    当日は、全18名。上は70歳から下は20歳。女子4名。外国人2名で半分以上は、20代。
    そして、大半が日本一周中。濃~い輩だらけでした。
    来年も、同じ日程、同じコースでリベンジ予定です。
    それでは、また。ブログを楽しみにしています。

    • RYOさま

      コメントありがとうございます。
      あいにくの天候だったようですが、そのお陰と言いますか、新しい出会いもあったようで楽しそうでしたね。日本一周に出てる若者がそんなにいるなんて、まだまだ捨てたもんじゃない(笑)。ここ数年、夏の北海道は天候が難しいですね・・・。カニってことは船長の家でしょうか。

      早々と来年も渡道宣言。いやあイイですね、僕も行きたい。いや行くぞー。

  3. 不明瞭でスミマセン。
    novotelさんも利用された帯広大正カニの家です。
    あそこは、日本一周たちの巣窟です。
    彼らは宿には金を使わず、たいてい道の駅にテントも張らずに、寝袋にくるまっているそうです。
    背中に「日本一周中」と大書するのは、「ホームレスに間違われないため」とのこと。
    旅人の知恵でしょうか?

    • RYOさま

      あーそうか、帯広ですね。なるほど。
      18人とは盛況ですね。雨だから皆逃げてくるんでしょうね。あ、僕もそうだったな。旅人にはありがたい施設です。
      確かに、いろんな人がいますよね。日本一周かあ、一周したあとって何が残るんだろうなあ。友人に三周くらいした奴がいるんで、今度聞いてみよっと(笑)。引退したらゆっくり回ってみたいですね。

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