続・自家製レーズン酵母 〜液種から元種へ

酵母を仕込んでから6日目の朝。

なんかあんま変わらんのですけどー?と不安に。

しかーし!その日の晩、レーズンがかなり浮き上がってきて。

7日目、一気に醗酵の兆し!

完全に浮いちょる!

そしてシュワシュワしちょる!

底にはオリのようなものも。

蓋を開けると

ブシュワーーーー!

きききききき、キター!!!!(喜!)

蓋してても一日中シュワシュワ聞こえてきて、生きてるぜ感満載♪

そのまま夜まで待って、そろそろかと。

レーズンを取り出して最後の一滴まで搾る。

液種の完成!

液種30g、強力粉30gを混ぜて元種づくり。

見た目は昨日食ったトロロ。

イイ感じ!!

このあと3回くらい種継ぎして、いよいよピッツァを焼いてみますぞ。楽しみ!

 

 

 

 

自家製レーズン酵母

満を辞して自家製酵母を仕込む。

材料はオイルコーティングしてないレーズンと水、それだけ。
教えを乞うのはいつもどおりYouTube先生である。便利な世の中だなあ。

これまで使ってきた「白神こだま酵母」にも不満はなかったし、便利この上ないのだが、自家培養において酵母を育てていくといった世界観はすごく自然的で、できればそういう製法でピッツァを作りたかった。感覚的にはヌカ床に近い。現に欧米では何十年も酵母を受け継ぐとも聞くしね。

「けっこう適当で大丈夫よ」

すでにレーズン酵母を常用しているマンチ先生もこう言ってるし、なにしろちゃんと醗酵するのか、どう育つのか経過が楽しみなんである。

2日目。あまり変化はないね。

ただ待ってるのもなんだし、今日もピッツァを焼く。これは白神こだま酵母で。

前回の半分量で8枚分。加水率は同様の0.54%。

・水:500cc
・はるゆたかブレンド:925g
・海塩:27g
・白神こだま酵母:6g+ぬるま湯18g

今回はあまりうまく出来なかった。納得せず。

同じように作ってても毎回結果が違う。本当に微妙な要因で変わる。これを仕事にするって大変よね。むー。

4日目。どうなの?イケてんの?

頼むぜ酵母ちゃーん。

 

たぶん、続く。

 

 

 

 

少しばかりの大量仕込み

岡山に行ってMUNCH’Sのピザを食べたり、薪窯のはぜる音なんかを聞いていたら、僕も早く帰ってピザが作りたくなった。作らなきゃ、じゃなくて、作りたいと思ったんだな。

以前から、2〜3枚じゃなくてもっと枚数を焼く練習をした方がいいと師匠には言われていて、僕自身そうすべきと思っていたが、問題は大量に焼いたピザをどう処理するかだった。奥様と二人で食べきれる量などたかが知れている。友人宅に届けてもいいが、冷めたピザを食べさせるのは気乗りしなかった。

でも、そんなことを言ってても一向に進歩しないので、ピザの処理はあとで考えるとしてとにかく大量に仕込んでみることにした。
大量といっても「僕にとっては」で、MUNCH’Sをはじめとしたプロのピッツェリアの仕込み量とは比較にならない。ミキサーもないのでもちろん手捏ね。レシピを含め備忘録的に。

・水:1L
・江別製粉はるゆたかブレンド:1.85kg
・海塩:55g
・白神こだま酵母:15g+ぬるま湯45g(で用意するも、手捏ねの生地感みて3/4ほど使用。10g+ぬるま湯30g程度で良さそう)

水基準で粉は初の2kg弱。これまでの4倍以上。加水率は0.54%。

2kg弱の粉に水1Lが加わるので当然3kg近くなる。この量を手捏ねするのは少々体力がいるが、やってみたらまあ出来ないこともない。20分以上捏ねたかしら。「こんなもんだ」の生地感になったので濡れ布巾をかぶせて一次醗酵。ずっと手捏ねしてきたので生地の状態はだいぶわかるようになった。

2時間程度休ませたらモッツァトゥーラへ。

MUNCH’Sにならって1玉180g に。一般よりやや小ぶりサイズかもしれないが、僕もこれまで175g程度で作ってた。この量で16玉分。最後の1玉は170g強と少し小さくなる。

27時間程度ゆっくり二次醗酵させる。生地の感じはとても良い。一度に16枚焼くと本当に処理に困るので、考えた末6枚は焼いて残りは冷蔵庫で保存する。

マルゲリータ。

とてもとても美味い。すんごく美味い。たぶんこれまでで一番か、そのくらい。今日は生地がとても良い。

ちょっと焼きすぎちゃった。
菜の花、れんこん、ベーコン、モッツァレラ、ブリー、パルミジャーノをハーフ&ハーフっぽく。

このあと、ちょうど奥様が仕事から帰宅する。
ロケで同行したN沢さんが自宅まで送ってくださったので、ここぞとばかりに帰しませんと引き止めて、新しいのを焼いて食べてもらう。積極的消費活動。

N沢さんと奥様で2枚食べて、1枚土産に持たせる(笑)。写真を撮る余裕はなかった。

「幸せでした」と言ってもらえて、これ以上ない褒め言葉。
僕もMUNCH’Sで初めて食べた時、同じ言葉を言った。ああ嬉しいなあ。

冷蔵庫にはまだ10枚の生地が眠ってる。
出張して焼くなどどうやったら焼きたてを食べてもらえるか、ずっと考えてるんだけど、わが家のガレージを少し整理して、食べにきてもらうのが一番手っ取り早いかもしれない。みなさん、材料費程度で食べに来てくれますか?(笑)。

 

 

 

 

大阪、堺の實光刃物

包丁は以前から欲しくて、合羽橋道具街をうろうろしたりもしたけれど、結局決めきれぬまま今に至る。自分の切れ味の悪さには辟易したが、次に大阪に行ったら今度こそ堺で買おうと決めていた。

堺は言わずと知れた刃物の街で、打刃物の生産では600年の歴史を持つ。プロの料理人包丁では国内シェア98%。世界中からも注目されている。
堺包丁とひと口に言ってもブランドは多数あり、下調べのあといくつかの老舗ブランドに的を絞った。果たしてそこまで立派な包丁が僕に必要なのかは迷ったが、自分の手がとどく範囲内で、なるべく良くて長く使えるものを買おうと決めた。腕のない人間ほど良い道具を選ぶべきだ。

奥様の実家に帰った折に時間を作って、梅田の千日前道具屋筋に行って「堺一文字光秀」をチラ見。ショーケースに所狭しと並ぶ様は圧巻である。やや気後れしつつも店内をひと回りして次へ。

 

難波スカイオ5階にある「實光刃物」へ。今回の本命。
ここはデパートの中にあるショールームなので敷居も低く入りやすい。ショーケースを覗く僕にお姉さんが声をかけてくる。

「どんなものをお探しでしょう」
「ええと、三徳包丁をちょっと探しているんですけど」

それからいくつかの特徴を説明してもらい、その日は時間切れでパンフレットだけもらって退散。でもここの包丁を買うと決め、後日堺の本店に行って悩み抜いたすえ一本を購入する。

切れ味は良いがマメな手入れが必要なハガネか、扱いの楽なステンレスかで迷ったが、店員さんの勧めもあり、憧れでもあったハガネに決めた。

刃身は青砥スーパー黒打、柄は和包丁のような白系に憧れていたので、八角水牛口輪柄に付け替えてもらう。黒打刃とのコントラストが美しい。

「堺實光」の下に名入れをしてもらい、世界でただ一つの自分の包丁ができてウットリである。

光の当たる角度によって表情が変わるのもお気に入り。

これで一番最初に切ったのはトマト。
その吸い付くような切れ味にびっくり。ほとんど包丁の重さだけですくっと切れていく味わい。葉物野菜ももちろん、ピーマンなど面白いようにストンと切れる。刺身の柵をこれで引いてもエッジが立つだろう。

一番驚いたのは、明らかに料理が美味しくなること。切り口はその味にも直結するのだと使ってみてわかった。

奥様にも試しに使ってもらったが「料理したくなる包丁」と感動のレベル。今まで使ってた包丁が切れなさすぎたけど、それにしてもここまで変わるのか。

ハガネを選んだことでかえって丁寧に扱う愛着。当初の予算よりオーバーしたが、大満足。錆びさせないように、いずれは砥石も揃えて、ずっと大事に使いたい一本である。

 

 

 

 

冷凍ピザを試作する

ピッツァは焼き上がり2分以内が一番美味しく食べられる時間だと何かで読んだ。実感としても概ねその通りだと思う。冷めたピッツァを温め直しても、焼きたての美味しさに到底及ばないのは誰しも頷けること。

コロナ禍になる前から、食のトレンドとしては「簡単便利」や「中食」「おひとりさま」がひとつのワードになっていた。以前の職場では食のプロたちを繋ぐBtoBサービスを行なっていたので、そのあたりの時流は耳に入った。忙しい社会人に需要が高いのだという。むべなるかな。

焼き立てのピッツァを食べてもらいたいのは言わずもがな。でももし仮に、焼き立てと同じは無理だとしても、冷凍でも美味いと思えるピッツァができれば、いろいろと可能性が広がる。遠方に住む友達にも届けられるかもしれないし、作りすぎた練習ピザを保存することもできる。あまり期待はしなかったけどとりあえずやってみることにした。

まずピザはどの状態で密封するべきか。
生地だけ素焼きするか、具材も乗せて全部火を入れるか、何もわからなかったけどまずは普通に焼いて封をすることにした。

フードシーラーを買い、真空まで空気を抜いたら生地がぺちゃんこになった(当たり前だ)。これでは流石に食感も悪いだろうと思い、「潰れ過ぎない程良い脱気」と「脱気はせず密封のみ」の二つを作って冷凍した。

家庭で急速冷凍するためには、そういう機能がある冷凍庫に入れることだが、わが家にそれはない。簡単でお安くて近い効果が見込める方法として、冷やしたアルコールを利用した「液体凍結」を試す。

急速冷凍が良いのは、食品内の水分が凍る-1〜-5℃の温度帯が長いほど細胞を壊しやすいため、そこをいかに早く通過させるかが鮮度を保つ鍵になるから。家庭用の冷凍庫は空気で食品を凍結させるので時間がかかる。冷やした液体の方が熱伝導率が高く、早く凍らせることができる、はず。

とうもろこし由来のエタノール「フードケア75」の5Lボトルを購入して、ボトルごと冷凍庫に放り込んで冷やした。フードケア75は万が一食品についても植物由来のものなので害はない。エタノールの凍結温度は-114.5℃なので冷凍庫へ入れても凍らない。

-20℃ほどに冷やされたフードケア75を大きめのバッドに入れ、その中に密封したピッツァを沈めた。2〜3分も浸けておくと次第に白く凍ってくる。冷凍庫で凍らせるよりは早いような気がする。ある程度凍ったら普通に冷凍庫へ入れて保存。

何日か経って、食べてみるかと冷凍庫から出して自然解凍。

あとでいろいろ調べると、解凍についても-1〜-5℃の温度帯を素早く通過させた方が良いらしいので、流水解凍などの方が良いのかも。
でも普通の人はメンドーだしそんなことしない。あくまで普通の、一般家庭的なルーティンで美味しくならなければ意味がない。

1時間程自然度解凍してから、これまたどこの家にでもあるようなオーブントースターで焼く。オーブンは少し余熱で温めておく。そのぐらいはするだろう。上の具材がフツフツとしてきて、チーズがとろけてきたら完成。「程良い脱気」と「密封のみ」両方同じように焼いて試食。見た目はあまり良くない。

「密封のみ」
美味しくないなあ。
耳の部分など生地の潰れはないのだが、味が格段に悪い。自然解凍した時にすでに内側に水滴があったから、これは味が落ちるかなあと思ったけどその通り。これはちょっとナシ。

「程良い脱気」
うーん、イマイチだなあ。
密封のみよりはマシ。でも全然だなあ。そしてどちらも時間劣化がすごく早い。あっという間に生地が固くなって食感悪し。

まあ半ば予想通りであるわけで、冷凍はやっぱりダメだなという印象なんだけど、ものは試しと市販されてる冷凍ピザを買ってみた。近くのクイーンズ伊勢丹でたまたま見つけた、楽天で一番売れてるというPIZZAREVOのマルゲリータ。税別680円也。

検証。

大きさは22〜23cm。どうやら生地だけを素焼き、ソースや具材はあと乗せで火を入れず密封。真空までいかず、程良い脱気具合はテストしたものに近い。

1時間ほど自然解凍して袋から出す。見た目もなんか、僕のよりだいぶ美味そう。

同じくオーブントースターで焼く。チーズとバジルの香りが良い。

焼き上がり。奥様と頬張る。

うーん、まあ。なんだな。こんなもんだよな(笑)。

僕のよりは美味しいけど、でもやっぱりすぐ固くなるし、もう一回買うか問われるとどうでしょう。宅配ピザの味ってもう全然覚えてないんだけど、どっちを買うのか微妙なところ。値段が安いのと保存が効く点だけがメリットか。

美味しい冷凍ピザ。
その期待値はかなり低いけど、もう少し何か試してみようかな。