マニアックな良本


「ピッツァ プロが教えるテクニック」(柴田書店

 

粉の分量はキロ単位、スパイラルミキサーへの投入タイミング、生イーストの仕立てなど完全にプロ目線。それが良い。薪窯の灰の処分方(笑)なんて、その筋の人しか興味ない。

生地のこね方や伸ばし方を解説するものは多いのだが、粉の保存方法や仕込みなど、舞台裏を紹介するものは極めて少ない。そんなノウハウは普通教えたがらないだろう。一般ウケはしそうにないけど、そういう意味で貴重な一冊。
その線でまるっと一冊作って欲しかったが、残り半分は各店のレシピやトッピングのバリエーション。それすらとても参考になるんだけど。

少し調べたら、柴田書店はその手のプロ向け教本に強いらしい。
写真も美しく、めくるだけでも楽しめる良本。

 

 

ピッツァを焼く週末

週末ともなれば、相変わらずピッツァを焼き続けている。
なにごともメゲずに続ければそれなりに上達するようで、最初に比べれば明らかに美味しくなったと思う。粉ははるゆたかとカプートの5:5、7:3ブレンドを試し、そのあとはるゆたかのみで何度か作ってみた。はるゆたかはさっぱり、カプートは割と濃いめの粉の味があり、7:3ブレンド程度がちょうど良い食べ感なのではと結論。

加水量や塩分量も大体いい塩梅になってきたし、焼きはロースターと仕上げにトーチで炙る事で、ベストではないけど今できるベターではあると思う。コルニチョーネもふっくらと柔らかい。もう気持ち表面のカリッとした香ばしさが欲しいのだけれど、今以上に焼成時間を伸ばすと単に生地が硬くなる。プレヒートをしっかりしてできるだけ温度を上げて、一気に焼くようにすれば少しは改善するかも。

材料やレシピが同じでも、生地の扱い方によって味は大きく変わる。僕が思うところでは、手ごねは空気を含むようにして、きっちり時間をかけてこねさえすれば、ほとんど優劣なく仕上がる。
第一の、かつ最大の難関は発酵によって倍ほどに膨らんだ生地を、容器から潰すことなく綺麗に取り出す事にある。市販のタッパーウェアはこれに適していないのか、この工程はとても難しく感じる。

冷蔵庫へ入れての長時間低温発酵は、保存や運搬の上でも無視できない工程である。冷蔵することは単に発酵を遅らせるだけでなく、生地になんらかの旨味変化をもたらすと何某かで読んだ(難しい化学はわからないけど)。
冷蔵庫に入れた生地は僕の短い経験上、リラックスを通り越してダレる傾向にあるのだが、こうなると先の取り出しの工程がさらに困難になる。

カードやヘラを使って、含んだ空気を潰さぬようにサクッと出したいのだが、柔らかいマシュマロのような生地はぺっとりとタッパーにくっついている。ひどい時はピッツァ生地というより、ナンのようになってしまうこともある。こうなると伸ばしが上手くいかない。伸ばしが上手くないと厚みが均等にならず焼きムラにつながる。だからと言っていつまでも生地をこねくり回していると、ガムのように弾力のある硬い生地になってしまう。極力手数は減らすべきなのだ。

上にのせる具材も大いに検討するところで、マルゲリータに関しては下手なアレンジはもう逆効果。以前と変えたのはフレッシュモッツァレラを使うことと、ブラックオリーブを加えたこと。これでほぼまとまってる。パルミジャーノレッジャーノを使ってないので、これを加えても良いかも。

もう一枚焼くピッツァが、どうにもいつも定まらない。これまで生ハム、ソーセージ、照り焼きチキンなど、肉系の具材をのせてそれに合う野菜をトッピングしてたけど、どうもしっくりこない。野菜だけの方が美味い気がするな。要検討。

こないだアクセス解析を見たら、このサイトを覗いてる人はほとんど居なくて(笑)ホントに1人か2人くらいなんですよ。それでも僕は一向に構わないわけです。これまで上のようなグダグダした取り留めないメモを、紙に書いて自分用に記録してたんですね。でも打つ方が楽だったから、ここは存在してるってわけです。

「お前全然間違ったこと書いてるよ」なんていうツッコミなど仮にありましたらありがたく拝聴しますけど、本来が「チラシの裏の覚え書」なわけですから、そのへん念のためにご承知おきを。

 

 

 

粉をブレンドしてみる

週末に2枚焼く。
粉ははるゆたかとカプートを5:5でブレンドし、1枚分の分量も少し増やす。
禁断のオリーブオイル投入。

・粉 220g(はるゆたか110g+カプート110g)
・水 150cc
・塩 4g
・イースト 1g
・CRUDOオリーブオイル 小さじ2

 

こね始めから生地の感触が全然違う。今までにない粘りと軟らかさ。後半は少し締まってくるかと思ったが、30分こねても粘着強く指やボールにひっつく。良いか悪いかで言えば、良さそう。フンワリ軽く焼き上がりそうで期待が持てる。オリーブオイル投入のせいだと思うけど、以前入れた時はこれほどではなかった。水分量の関係だろうか、わからん。

30分こねて、1時間発酵させた後等分して、3時間くらい二次発酵。充分膨らんでやや萎んだくらいの状態で伸ばし。
1枚目、ピザロースト10分プレヒートして投入、3~4分焼成。
2枚目、余熱ありなので5分のプレヒート後、同様に3~4分焼成。

定番マルゲリータ、見た目はあまり美味そうじゃないが、安定の美味さ。生地が軽くてもっちり。

アスパラと生ハム、オレガノのピッツァ。
アプパラは焼く前にさっと湯通し。でもあまり香ばしさがなく生ハムとの相性もイマイチ。どうせならルッコラにしてサラダ風にすれば良かった。生地は美味いが同じく見た目はもうひとつ。

伸ばしの手際は上達はしてるけどまだまだ。大理石の打ち台をつかうようになって、格段に作業しやすくはなった。生地は普通に美味いけど、普通じゃなくて特別に美味いピッツァが作りたい。この分量をベースに試行錯誤する。塩 4gは多い?
ステッペンシュレッドのチーズ、味は良いんだけど少し塩気が強いかも。それに、ちょっと家庭用ピザみたいな仕上がりに(とっても糸引きます)。家庭用なんだけど。もう少し質の高いモッツァレラ使って、アダルトピッツァに仕上げたい。

次回は7:3ブレンドを試す、バーナー買って焼き色つける、トマトソースを変える。

 

 

ピザロースターとはるゆたか

さて。北海道にツーリングに行ったりビンテージモトクロスに出たりして、ピザ作りは少しお休みしてたけど、熱が冷めたわけじゃない。アクセルを開けながらも、ピザ生地のこね方をイメージしてたよ。というのは嘘だけど。

熱といえば、いよいよピザロースターを買ったんだ。これまで使ってた魚焼きグリルの焼成にちょっと限界を感じてて、どんなに生地をうまく捏ねたって、これじゃあ仕上がりがあまり変わらないじゃないかって壁にぶち当たってたんだな。それで、いくつかあるロースターの中から僕が選んだのは、フカイ工業の「FPM-160」というモデル。

あくまで家庭用の電気機器だから、プロの石窯や薪釜にはもちろん及ばないけど、だからといって行動もしないで諦めてちゃ何も変わらないだろう?これは400℃まで上がるので選んだ。これにFPM-220の回転機能がつけば言うことないんだが、世の中思い通りにいくことなんて、むしろ少ないからね。今の僕にとっては、価格面においてもベストチョイスだと思ってるよ。

それから、今まで使ってきた粉はカプート社の00番小麦なんだけど、国産小麦が気にならなかったわけでは決してない。国産小麦はおしなべてグルテン量が少なく、もっちりした生地作りには向かないかもしれないけど、北海道産の「はるゆたか100%」は一度試してみたい粉だった。それに、日本人だしできることなら単純に日本の材料を使いたい。それで、3kgを今回買ってみた。

いつも悩むのがチーズである。これはどれが良いのかまだ定まらない。チーズって、意外にコストもかかるし健康面も気になる食材である。好きではあるが、種類も多いし詳しくない。ドイツのステッペンチーズを試してみようと探していて、評判も良く値段もそこそこだったマリボーのステッペンシュレッド(セルロース不使用)1kgを買ってみた。

それらの新しい道具と材料を使って、早速作る。

はるゆたか 200g
水 120cc
塩 4g
イースト 1g

手捏ねきっちり30分
ぬれ布巾かぶせて2時間発酵後、二等分して5時間二次発酵。膨らみ良ーし。
ロースターは高温で10分プレヒートしたのち投入。焼きは加減見ながら3〜4分。5分も焼くと焼きすぎ。

定番マルゲリータ、美味いやんけ〜。

テリヤキチキンとエリンギのピッツァ。うん、悪くない。

テリヤキの方は少し焼き過ぎたけど、どっちもなかなか美味い。奥様の評価も今までで最高得点。ロースター、良い仕事します。これでダルメシアンスポットまでつけば言うことないんだが。
はるゆたかはカプートよりさっぱりというか、クセのないシンプルな粉のうま味。捏ね感は少々固い。もっちりは控えめだけど、奥様はこちらの方が好みだそう。

どうだい?熱が冷めたわけじゃないだろう。鉄は熱いうちに打て、窯は熱いうちに焼け、ピザは熱いうちに食え。そう、僕は熱いピッツァを焼きたいんだ。遊びもひと段落ついて、また腰据えてピザ作りに打ち込むつもりだよ。

 

 

 

ナポリスタカ駒沢(Pizzeria da peppe NAPORI STA’CA”)

ナポリスタカ駒沢 ピッツァとパスタのランチ 各2,500円

奥様と所用で駒沢大学まで行った時、たまたま見つけて入ったピッツァリア。関係ないけど駒沢は、結婚前に偶然僕も奥様も住んでいた懐かしい土地である。

ランチタイムに入店したらなかなかの賑わい。入ってすぐ目に入るのは、ブルーの美しいイタリア製薪窯。陽気なイタリア人たちがくるくる回りながら、楽しそうに働いている。ピッツァイオーロなんて鼻歌うたってるし。ナポリにある食堂はこんな感じなんだろうなと思う。行ったことないけど。

ピッツァランチとパスタランチの2つをオーダー。各2,500円。
これを安いとみるか高いとみるか。たっぷりとボリュームのある二人分の前菜、美味しい。ピッツァはマルゲリータ、普通に美味しい。パスタもあえてトマトソースを選んでみた。これもまぁ美味しい。これにコーヒーとドルチェも付くなら単品で頼むより明らかに安いだろう。

でもさ、常々思うけど、日本のピッツァって高級品だよね。結局二人でお酒一杯ずつ飲むじゃん、ランチだけど6~7,000円くらいになるじゃん、確かに美味しかったけど、なんか引っかかるワタクシは小者なんでしょうか。

土地代もある。わかる。でもさ、僕がピッツァ作ったら、高くても1,000円以下で食べさせたいよ。理想はマルゲ600円だね。そういう食い物じゃないのかな。
ここは美味しいし、雰囲気も良い。悪いとこない。悪いとこあるとすれば、日本のピッツァ事情なんじゃないかと思う。